B型肝炎九州訴訟上告受理の理由について

 本年2月10日に、集団予防接種の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルス感染被害者のうち、慢性肝炎の最初の発症からは20年以上経過して提訴したものの、慢性肝炎発症後鎮静化し、その後再発した被害者について、除斥期間の起算点を再発時とするよう求める訴訟について、最高裁判所第2小法廷は、上告受理決定を出しました。

 本年2月12日に、決定書が文書で到達し、これによると、以下の通りでした。

「第1 主文

 1 本件を上告審として受理する。

 2 申立の理由中、第4の2及び第6を排除する。」

 私たちの上告受理理由の目次は以下の通りでした。
第1はじめに
第2 筑豊じん肺訴訟最高裁判決、水俣病関西訴訟最高裁判決、B型肝炎訴訟最高裁判決との相反
第3 最高裁昭和42年判決に違反していること
第4 経験則違反
1 「損害の発生」についての経験則違反
2 B型慢性肝炎についての医学的知見に関する経験則違反
第5 国家賠償法1条1項の解釈の誤り
第6 正義・公平の観点からの民法724条後段の解釈適用違反

 すると、排除された第4の2と第6以外は、「<最高裁判例違反事件その他>法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる」(民事訴訟法318条1項)という判断になります。

 このため、当方が中心的な争点である除斥期間の起算点に関する最高裁判例違反(第2)以外にも、時効の起算点に関する最高裁昭和42年(7月18日)判決違反も一応理由があるととらえられているものと思われます。