B型肝炎九州訴訟原告本人尋問期日について

 2009年10月13日13:30から、福岡地方裁判所で、B型肝炎九州訴訟の原告本人尋問が行われました。
 オレンジサポート(B型肝炎訴訟を支援する学生の会)をはじめとして、たくさんの支援者の方々に傍聴をいただき、法廷が満席になりました。どうもありがとうございました。
 匿名原告の原告番号85番さんは、母が予防接種の回し打ちによる直接の被害者で、ご自身は、そのお母さんから母子感染で感染した2次被害者です。
 85番さんは、小学生の時に、母が慢性B型肝炎に感染していることが分かりました。また、そのときに、同時に、自分がB型肝炎のキャリアであることを知りました。医師から、「血液を介して感染させることがある。」と聞き、自分の血液が凶器のように思え、友達にも話してはいけないと感じました。
 自分が感染したことについて母を責めた夜、母は、ふすまの向こうで声を抑えて泣いていました。
 母は、その後肝ガンを発症し、苦しい治療を受けましたが、再発しました。医師から「最後の旅行になるだろう。」と告げられ、了承を得て家族で温泉旅行に行きました。温泉で母は笑顔を見せていましたが、旅行中に容態が急変し、59才の若さでなくなりました。
 まだ肝炎を発症してはいませんが、ウイルスの量が多いので、注意が必要だといわれています。母と体質が似ているので、母と同じ歳くらいで肝炎を発症し、肝ガンになってしまうのではないか、という不安が消えません。
 子どもを1人授かりましたが、女の子だったため、もしワクチンが効かなかったら自分と同じ苦しみを与えると悩みました。ワクチンが効き、我が子への母子感染は免れました。そのときに初めて幸せな気持ちになり、同時に母のつらかった気持ちが分かりました。
 子どもは3人ほしいと望んでいますが、抗ウイルス薬を服用し始めると、出産は断念しなければなりません。
 国は、子どもが好きで、生きていたら我が子を孫として慈しんでくれたはずの母親の普通の幸せを奪い、また、自分の人生も大きく制限し、不安の中で生きることを強いている。そんな国が、法廷で争っていることが許せない、これ以上の苦しみを私に与えないで下さい、と訴えました。
15人分用意された予備のイスまで満員の傍聴席からは、鼻をすする音が絶えませんでした。
今日の尋問で、慢性肝炎、肝硬変、肝ガン、遺族・キャリアの代表者の尋問は終了しました。今後、10月26日、11月16日、12月7日に進行協議期日が予定されています。また、新たに2010年1月26日15:00からの口頭弁論期日が指定されました。
 原告団弁護団ともども、早期和解による全面解決を目指して力を尽くしていきますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。