ストリートビューの対象地域拡大について

 今日の読売新聞の朝刊で、ストリートビューの地域拡大が報道されていました。
 グーグル社は、全国約40の地方議会から改善を求める意見書を提出されていたため、「家の中をのぞき込む形にならないよう、今後は高い位置からの撮影・公表はしない」「今後は、公表する対象地域の自治体に事前に連絡する」などと、東京都の情報公開・個人情報保護審議会や、総務省において公約を述べていました。
 しかしながら、今回、突如拡大された新たな地域の画像には、全国から批判が集中した「高い地点からの撮影(沖縄)」画像が含まれており、「新規に公表された地域(長崎県)への事前通知を行っていない」ことが判明しました。
 報道によると、グーグル社広報部は、公約達成が「できていないといわれても仕方がない」という人ごとのようなのんきなコメントを寄せています。
 みなさん、このような対応で納得されるのでしょうか。
 ちなみに、グーグル社は、東京都の審議会では、「撮影した画像のうち、削除請求が行われた分については、もとデータは保存していない」と説明していましたが、その後、実際には保存されていたことが判明しています。
 公約や、公共の場での説明が嘘でも何とも思っていないという感覚が信じられません。
 グーグル社は、日本人の肖像権など、たいしたことだと思っていないのだと思います。
 アメリカ人は、公道で歩いている人は肖像権を放棄したものと見なされて違和感がないため、アメリカでのサービス開始の際には、なんと1人残らず、顔がぼかしのないまま素顔で公開されました。その中には、ストリップ劇場から出てくる人など、恥ずかしい画像が山ほどありました。それでも、「ぼかし無く公表しやがって、訴えてやる!!」というアメリカ人は、訴訟社会なのに1人も現れませんでした。外を素顔で歩いている以上、人から撮影されるのは自己責任だ、というのが、自由の国アメリカの発想なのです。
 このような行きすぎた撮影する側の自由の考え方(肖像権保護がゼロ)を採用せず、プライバシーを保護しようというのがEUや日本など、ほとんどの国の発想です。
 グーグル社は、EUでは無前提には公開を開始しませんでしたから、EUには一応敬意を払いました。しかし、日本人は、自国並みの扱いでよい、EUほど敬意を払う必要はないと決めているのでしょう。
 一応配慮しているふりをしていれば、すまされる、という感覚には違和感を覚えます。
 皆さんの素顔の生活が、どんどん世界中に公開されるようになっても、皆さんは違和感がありませんか。一歩立ち止まって、このまま突き進んでいった社会がよいものになるのか、考えてみませんか。