中国からの留学生と熊本判決

 九州大学の大学院に留学している、アジアの法律家や、その志望者と、裁判官、弁護士会との懇親会が開かれました。
 私は、今年、初めて留学生の研修を受け入れ、中国からの留学生と10日間ほど一緒に仕事をしました。
 ハンセン病国賠訴訟の話をしたら、最初は、伝染するはずだと言われ、中国では、まだかなり偏見が残っているようでした。
 私も、弁護士になりたての頃、日本人が中国人の女性との偽装結婚をする仲介をした事件の国選事件の中で、中国では、ハンセン病に罹患していないことの証明がないと、結婚の届け出が正式に受理されない仕組みになっているのを見てびっくりしたことがあります。
 その話をしたら、留学生は、ネット検索をして、中国では、2001年に法律改正が行われ、ハンセン病に罹患していないことの証明は、婚姻届の要件からはずされているとのことでした。
 それが正しいとすれば、まさに、ハンセン病国賠訴訟熊本判決が出た年のことであり、その影響が考えられると伝えました。
 私は全く意識していませんでしたが、熊本判決は、お隣の中国の人も救っているのかもしれないということであり、その後のソロクト・楽正院判決なども併せて考えれば、植民地支配などで過去に日本が影響を与えてきた東アジアに影響を与えた、戦争責任の清算という役割を持っていたのかもしれません。