B型肝炎除斥事案に対する判決日の指定

2017年7月24日11:00に、福岡地方裁判所で、B型肝炎九州訴訟の口頭弁論が行われました。36名の原告の和解が成立しました。
 また、慢性肝炎の原告に対して、国が除斥期間の適用を主張している原告番号30番、403番さんに対する弁論が終結され、判決言渡期日が12月11日13:10に指定されました。
慢性肝炎の被害者のうち、最初に慢性肝炎を発症した後、セロコンバージョン(HBe抗原が陽性から陰性となり、HBe抗体が陰性から陽性になること)がおこったにもかかわらず、その後慢性肝炎を再発した方に対しては、再発時を除斥期間の起算点とし、それから提訴までに20年を経過していなければ、損害賠償請求を認めるべきだということが争点です。
 30番さん(2008年)も403番さん(2012年)も、弁護士に電話をして、初めて自分が被害者であるとわかり、裁判を起こしました。しかし、その時点では、慢性肝炎の「最初の発症」から20年経過しているので、国は、自分が加害行為を行った被害者である可能性が相当高いと認めながら、償う義務がないと主張しています。
除斥期間とは、不法行為B型肝炎訴訟の場合、国の不衛生な集団予防接種の実施)から20年たったら、損害賠償請求ができないという考え方(民法724条後段)です。不合理な場合が多いので、その後の最高裁判例で様々な修正が加えられています。民法改正案では、廃止される予定になっています。
 無症候性キャリアから、「慢性肝炎」、「肝硬変(軽度)」「肝硬変(重度)」「肝がん」「死亡」と、被害が重くなるたびに、除斥期間の起算点を繰り下げることが認められます。同じ肝硬変でも「軽度」と「重度」とで起算点が異なる様に、また、同じじん肺で「管理区分2」と「管理区分3」とで起算点が異なる様に、慢性肝炎でも「初発(HBe抗原陽性慢性肝炎)」と「再発(HBe陰性慢性肝炎)」とで起算点が異なることが認められてしかるべきです。
 全国のB型肝炎弁護団原告団が注目し、弁論のたびに各地の代表弁護士が意見を述べています。
 裁判所の判断にご注目下さい。