1冊1600万円のパスポートは廃止されます。

 今朝の毎日新聞の朝刊によると、外務省は、8月22日、インターネット経由でいつでもパスポートを申請できる「旅券電子申請システム」を2007年度から停止することを決めました。
 自宅のパソコンから、県庁に行かなくてもパスポートを取得できるという、「電子政府」構想に沿った制度でしたが、本当に利用しようとすれば、住民基本台帳カードと専用のICカードリーダー、各種ソフトをパソコンにインストールする必要がある上、戸籍謄本等の資料を、別途郵送する必要があるため、手続きが煩雑な上、費用も余計にかかり、年間8億6000万円の経費をかけているのに、2004年3月以降の2年以上で、わずか133件しか利用されておらず、パスポート1冊あたり1600万円かかるため、財務省から「廃止も含めて検討すべきだ」と、無駄遣いを指摘されていました。これを受けて、外務省は、来年度の運営経費を予算要求せず、この制度の停止が決まりました。
 住基ネットは、21世紀に必要不可欠な夢の「電子政府・電子自治体」として、24時間、いつでもどこでも行政申請ができる体制にするための基盤だと、総務省は説明しています。しかしながら、実際には、国民はそのようなものを望んでおらず、利用者はほとんどいません。
 これは、20世紀にはやった、むだな土木事業による税金の無駄遣いが、21世紀のIT版むだな電子政府事業として復活しているものに他なりません。
 住基ネットも利便性はなく、住基カードはほとんど利用されていません。そのための年間予算は、政府発表でも200億円を下りません。住基ネットは、廃止した方が、税金の無駄遣いを避けることができ、行政効率化が図れます。
 今年2月15日には、鳥取県の片山知事が、鳥取県南部町では、住基ネット1件あたりの利用単価が200万円で、自治体財政を圧迫しているとの報告を受けて、記者会見の席上で、「壮大なむだですよ。・・・住基台帳ネットワークシステムというのは目に見えませんけど、もし可視的な装置があったとしたらぺんぺん草が生えていますよ。これは誰が進めたんですか」と指摘していました。
 今回のパスポートの電子申請の廃止は、住基ネットを基軸とした電子政府構想そのものの破綻を示すものとして重要なものです。