住基ネット差し止め熊本訴訟判決前集会

 14:30から、熊本市現代美術館アートロフトで、住基ネット熊本訴訟判決前集会が行われました。
 冒頭で、熊本訴訟弁護団長で、参議院議員の松野信夫弁護士が挨拶をしました。住基ネットの問題が、監視社会の基盤としていよいよ深刻化していること、特に議員がマンションでビラ配りをすることが取締りの対象になってきていることなどとも関連した問題であることが指摘されました。
 その後、私から、「住基ネットの何が問題か」という題で、住基ネットの問題点や、すすみゆく監視社会化の現状と21世紀型公共事業利権としての無駄遣いの問題、全国の訴訟の中で違憲判決が2つ出されたことの意義などについて講演を行いました。
 住基ネットの稼働に際して判明した、防衛庁情報公開請求者リスト作成問題(2002年)、防衛庁適齢者情報収集提供事件(2003年)や、2007年に立て続けに起こった、陸上自衛隊による市民運動監視事件と、公安調査庁による青法協宿泊者名簿請求事件などは、国に役立つ国民の動員(18才の健康な男性の情報収集を行った防衛庁適齢者情報収集提供事件)、国にとって危険な国民の監視(その他の3事件)という、国家権力の素朴な欲求が無造作に実現されたものです。
 1人1人の国民が主人公であるためには、何よりも国家が情報を公開し透明化すべきであり、逆に個人のことを国家があれこれ詮索すべきではありません。
 国民の役に立たない国家を拒否できるのが民主主義国家ですが、この国では、国家の役に立たない国民を否定するために、主権者である1人1人の国民を透明化する危険性があります。
 最後に、熊本訴訟弁護団の園田弁護士から、「裁判員制度とプライバシー」と題して、裁判員の候補者に選ばれたら、義務教育終了の有無、禁固以上の前科の有無、心身の故障の有無、職業、経歴、死刑制度に対する意見などの思想等が聴き取られ、このような情報が国家に蓄積される危険があることなどが指摘されました。
 熊本訴訟の判決は、9月25日に言い渡されることになっています。最高裁判決のあとではありますが、今後住基ネットが無限定に拡大しないよう、国家による国民のコントロールに対する歯止めとなる判決が出されることを望みます。