住基ネット差し止め訴訟証人尋問

 13:10から、住基ネット差し止め福岡訴訟で、4つの自治体の住基ネット担当職員の証人尋問が実施されました。
 私は、この中でも特にセキュリティに問題があると思われる町の職員に対して、弁護団の持ち時間の約半分をもらって尋問を担当しました。
 調査嘱託に対し、「セキュリティポリシーが存在しない」と回答した職員は、「町役場の個人情報全体に関するセキュリティポリシーのことを聞かれたと思ったのでないと答えたが、住基ネット独自のものは存在する。当時は誤解して回答した。」と証言しました。
 住基ネット担当者で、住基ネット訴訟の調査嘱託の回答を行ったものが、住基ネットセキュリティポリシーがあるかどうかも認識がなかった、1度読んだことはあるし、住民課(自分の課)が原本を保管しているが、回答時には思いつかなかったということでした。
 また、パッチあてについても、「4年分のうち2年分しか回答しなかったが、それは、住民課にある分が2年分だっただけであり、あとで調べたら、総務課に2年分あった。」という証言でした。
 他の町でも、調査嘱託に回答を行った住民課職員が、「セキュリティポリシーの遵守状況は総務課の担当なので、分かりません。」「セキュリティ体制を管理する責任者が、住民課長なのか、総務課長なのかは分かりません。」と証言するなど、自治体の現場における住基ネットの情報セキュリティは、予想以上にひどい体制であることが判明しました。
多くの自治体では、住民票を取り扱う住民課の方が伝統もあり、格上にあるのに対し、コンピュータセキュリティを取り扱う部門(情報政策課、総務課など)は、後塵を拝しており、縦割りになってしまっていて、相互の交流が不十分です。責任の所在もあいまいで、どの部門がどのように情報セキュリティを監督するのか、という根幹を定めるセキュリティポリシーすら、裁判所の調査に対して的確に回答できていないのですから、ほとんどの自治体では、セキュリティポリシーは、少なくともその内容は担当者に周知されておらず、従って、遵守されているかどうかは確認のしようもない状況と思われます。