アメリカで濃厚接触者の隔離撤廃。日本は?

 2022年8月13日の日経新聞朝刊によると、アメリ疾病対策センターCDC)は、11日、濃厚接触者の隔離基準を撤廃した。5日間の隔離を求めていたワクチン未接種者も、隔離は不要になる。

 政策変更の理由は、ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、アメリカの新規感染者数に対する死者の割合が8月上旬に約0.4%まで低下したことにあると報じられている。

 濃厚接触者の同定と隔離は、市中感染が広汎に起こる遙か前の初期段階であれば効果が期待できる。しかし、濃厚接触者かどうかにかかわらず、市中に多数の無自覚感染者がいる場合、「キャリアである可能性が相当程度ある」という濃厚接触者を同定して隔離してみても、その効果は乏しくなっている。

 そのため、毒性が低くなった時点では、逆に多数の濃厚接触者の隔離の弊害(日本では病床逼迫等)の方が著しくなってしまう。

 やはり、毒性の程度に応じた、柔軟な政策変更が必要である。ウイルスは数ヶ月おきに変異していくのに、政策が一本槍ではちぐはぐになってしまう。

 入国規制も同じだ。

 日本に感染者がほとんどいない状態で、かつ、海外で流行している場合には合理的な公衆衛生政策といえる。しかし、すでに国内で大流行している場合に、入国制限をする公衆衛生上の合理性はあるのだろうか。海外では「鎖国」と揶揄され初めて久しい。ただのイジリではなく、「科学的根拠がないのでは?」という批判である。

 「以前、そうしたら内閣支持率が上がったから」という程度の理由で政策を継続していないだろうか。

 世界はEBPM(科学的根拠に基づく政策形成)に向かっている。民主主義国家は特にそうだ。民主主義国家として、理性的、科学的な政策が求められている。