B型肝炎訴訟で、国が年内解決を拒否

t-muto2010-12-27

 2010年12月27日16:30から、札幌地裁で、B型肝炎訴訟の和解協議期日が開かれました。
国は、裁判所から、感染後20年以上経過しているキャリアを含めた救済を再三求められていましたが、本日も具体的な案は示されませんでした。国は、事実上、年内解決を拒否しました。
 裁判所は、1月11日16:50に改めて新期日を指定し、裁判所の和解に関する考え方を示すよう努力したいと述べました。
 佐藤弁護団長は、「細川大臣その他閣僚は、年内基本合意を目指すとして進んできました。われわれは少なくとも年内最後の期日に合意が成立しなかったことは、少なくとも国の考えを示していただいて協議できる状況になっていないことは極めて遺憾です。原告らは、これだけ時間を要しておきながら、怒りを感じるという状況になっています。まだ年内数日残しているので、政府の決断を求めて行く。」と述べました。
 以下、記者会見での発言です。

高橋朋巳北海道原告代表
 和解勧告から9ヶ月間、何も進展していない。
 国は、いかにも年内解決すると大口を叩いて、ぬか喜びさせて、いったい被害者をどう思っているのか。
 明日から行動を起こします。徹底的に戦います。
 私には、年の瀬も正月も、家族も何にもないんです。
 和解の解決が実現して正月を迎えられると信じていました。除夜の鐘を聞くまでに、国のしっかりした答えを聞きたい。私たち被害者を辛抱させて、国、政府の方たちは、満足な生活をして放置していたから、これだけ被害者が増えた。まだ放置するのか、と目の前で言いたい。徹底的に戦っていきたい。

谷口三枝子全国原告団代表
 国は、前回と同じく、全く新しいものを示せなかった。
 国は、私たちを、被害者ではなく、金のかかる厄介者としか思っていない。
 菅首相に責任をとってもらうしかない。菅首相に解決してもらうしかない。
 誰か、倒れる人が出るかもしれないけれども、菅首相に決断を求めて戦います。

高橋元一北海道原告副代表
 前回の期日では、今日、相当な案が出て、解決するのではないかと思ったんですけれども、原告にとってはゼロ回答。この裁判で、国は加害者という意識があるのか。加害者という気持ちを持って、謝罪をして取り組んでもらいたい。細川厚生労働大臣も、仙谷官房長官も、年内基本合意ということを国会で約束されたけれども、今の政府は嘘つきなのか、やる気がないのか、我々の命よりも、総理の首の方が大事なのか、考えてもらいたいと思います。命は、二度と戻りません。今日の回答には、怒りに満ちています。年内、あと3,4日ありますけれども、菅総理の決断を期待しております。

清本太一北海道原告副代表
 年内基本合意を目指して今日の期日に臨みましたが、非常に残念です。年内解決のために道議会や北海道の過半数に近い市町村から決議を出してもらったが、大臣には受け止めてほしかった。細川大臣には、自分の言ったことには責任を求めたかった。謝罪を求めて座り込みを行います。予防接種は、母親が子どもの健康を願って行う行為です。謝罪は私の母にしてほしかった。日本中のお母さんに謝罪してほしい。今日は、全く無駄な一日だった。僕の一日を返してほしい。

岡田京子東京原告団代表
 年内もう1回期日を入れたいと言うことで新たにもうけていただいたのが今日だった。しかし、国から私たちに伝えられるものはないという、全く前回と同じ状況だった。
 もう1回期日を入れたいと言った大臣は、自分の発言の重要性を考えてほしい。
結果的に、年内の裁判所を介しての和解協議はなくなったけれども、政治決断という残された道があると思うので、私たちはあきらめずにがんばっていきたい。
 日本国民全員に謝罪してほしい。自分が被害者と気づいていない人がたくさんいらっしゃるので、そういう人にちゃんと説明をしてほしい。
 損害賠償を払えば責任を全うしたと言うことではないと思います。責任の取り方として、これ以上病気を進行させることのないよう、悪化させることのないよう、医療体制を作っていただきたいし、フォローしていただきたい。将来に対しての責任もとっていただきたい。

Q:声明の「国の環境整備が整わず」について、裁判長から言及はあったか。国の譲歩案は、裁判所を通じてなかったか。
A:(弁護団)譲歩案の中身についてはなかった。全体がパッケージだという説明しかなかった。裁判所は、解決のためには所見が必要だと判断し、環境整備が整わなかったので、18日より早い期日が指定されたと思う。
Q:原告の納得のいく所見を出したいというのは、裁判長の言葉ですか?
A:私たちがそう求めたのに対して、そういう方向で努力したいと言われた。
Q:所見についてどのようなものと考えれるか。
A:詳細なもので、論点表に沿ったものと推測する。
Q:所見での争点はどこか。
A:キャリアについてが最大の争点だったが、その点についても所見を出したいと言うことだった。キャリアに対しては、国からは政策対応というものしか聞いていないので、どこまで救済の水準として持ってくるのかが争点。

佐藤B:今日は、年内最後の和解期日でした。官房長官厚生労働大臣が、年内基本合意を目指すと言っていたから、和解に向けての準備も、誠意を持って臨んできた。しかし、今日に至るまで、国から、原告から理解の得られる和解案を提示しなかったと言うことは、国が誠意を持ってこの問題に取り組んでこなかったと言うことであり、今日まで和解の基本合意に至らなかった責任は、上げて国・政府の方にある。国が、加害者としての責任を自覚して、被害者をひとりも切り捨てることなく、キャリアを含めて全員救済を図るという姿勢を示すよう、行動する。
 総理の謝罪と、早期の解決のために必要なことをするという意思表明が必要。今日の期日を空転させたことを償う唯一の道だと思う。きちんと対応してもらいたい。