国、B型肝炎訴訟の年度内解決を放棄

 2011年3月25日16:00から、札幌地方裁判所で、B型肝炎訴訟の和解期日が開かれました。
 今回は、年度内最後の期日でしたが、国からは、発症後20年経過した慢性肝炎被害者に対する十分な賠償を行う和解案は提示されず、そのため、年度内和解は事実上不可能となりました。
 原告団は、1月22日に、札幌地裁の和解所見を条件付きで受け入れることを決めました。大きな条件として、謝罪を行うことと、発症後20年経過した慢性肝炎被害者を区別なく救済することを掲げていました。
 しかし、国はこれまで原告団に、自らの加害責任について謝罪することなく、発症後20年経過した慢性肝炎被害者に対する十分な賠償を行う和解案を提示することもないまま放置されています。
 国は、大震災に対する対応で、財源がかかるということを理由にして、裁判所の所見を受け入れた姿勢を見直すことはないと明言してはいます。
 しかし、肝ガンで余命を宣告されている重篤な被害者がたくさんおられること、提訴後死亡された原告が13名もおられることを考えると、国は早急に、被害者に対する解決の姿勢を示すべきではないでしょうか。
 福岡から駆けつけた九州訴訟原告の窪山寛さんは、「医師から宣告された余命の限度が来月にくる。国は、今日はきちんとした和解案を持ってくると思っていた。国は早く解決すべきだ。」と怒りを込めて訴えました。

Q(記者):国が、大震災とそのための財源論に言及したことをどう思いますか。
A(谷口三枝子全国原告団代表):最高裁判決の時に解決されるべきだったのに、放置されてきた。年内解決されるべきだったのに、解決されなかった。被災された人たちのことを思うと苦しいし、発症後20年経過した慢性肝炎被害者のことや、重症の肝ガン被害者のことを思うと苦しい。B型肝炎問題は、もっと早く解決されるべき問題だった。
A(高橋元一北海道原告副代表):私の家では、震災から逃れた2家族を受け入れているので、被災者の苦しみも分かる。しかし、国は、私たちB型肝炎被害者も助けるべきだ。
A(清本太一北海道原告副代表):以前、増税論を関連づけた財源論が言われたことがあったが、今回は、国を挙げて大震災への対応が必要だというのはよく分かる。しかし、厚生労働大臣が法的責任をとると言うことは、大震災への対応とは別の問題で、きちんと対応すべきだと思う。