B型肝炎訴訟で国がキャリアへの償いを提案せず

2010年11月24日13:30から、札幌地方裁判所で、B型肝炎訴訟の和解期日が開かれました。
 裁判長は、10月26日に、国に対して、キャリアへの賠償の提案がないことが、和解の最大の障害であることを前提として、国に再考を求めていました。国は、11月12日にはこれに回答していませんでしたが、今日の期日に何らかの回答をすると伝えていました。
 しかし、今日の国の回答は、「今日の時点で、原告側にお伝えするような国の提案はない」というものでした。
不誠実きわまりない態度です。
 裁判長は、国に対し、さらにキャリアへの一時金の支払いの検討を促しました。
 以下、記者会見での原告の発言です。
北海道訴訟高橋朋巳原告代表:全く何も進展していません。和解勧告から8か月たったのに、何の方策も決まっていない。国は何も考えてくれていない。国として自覚が足りないと思います。真実をしっかり国民に説明してほしい。国は50年前から注射器の使い回しは危険ですと知っていたのにやっていた。それさえなければ、苦しむ被害者はいなかった。1日も早く行動を起こすべきだ。菅政権は、私たち国民を守ってくれるのか、命を守ってくれるのか。口先では裁判所の言うとおりに進めていくと行っていたが、裁判所の言うことも守っていない。私たちをもてあそんでいるとしか思えない。心の中では、「早く死ねばいいのに。」と思っているのではないか。いたずらに引き延ばさないでほしい。
北海道訴訟高橋元一原告副代表:今朝MRIの検査を行ってきた。この春から、ガンになる可能性があるということで3か月ごとに検査を受けている。政府は年内解決を目指すといっていたので、今日は大きなヤマで2歩も3歩も前進するのではないかと思っていましたが、何も前進しませんでした。予防接種台帳など、被害者を切り捨てるためのデータしか集めていない。国はまだ加害者だという認識を持っていないようだ。国の考えていることが分からない。いつになったら解決するのか、非常に寂しい思いです。
北海道訴訟清本副代表:全国の原告は、この和解協議を待っている。去年、肝炎対策基本法ができた。その中で、予防接種が加害行為だと言うことを国が認めた。それからまだ1年もたっていないのに、キャリアを除斥期間という理由で切り捨てるのは納得できない。
 肝炎対策基本法でも、なかなか有効な対策がとられていない。キャリアの人でも、治療を受けている人がいる。キャリアの被害も確実にある。
全国原告団谷口三枝子代表:今日の和解協議は、祈るような気持ちで臨みましたが、ほとんど前進しなかった。先週、衆議院で、自民党の菅原議員が、「後数回の和解協議を消化試合と思っているなら、許されない」と、細川厚生労働大臣に詰め寄りました。全くその通りだと思います。国は、私たち被害者を全く馬鹿にしていると思います。衆議院では、集中審議が行われると期待していました。しかし、与党民主党によって、集中審議が拒否されました。民主党にプロジェクトチームができたと聞いたときは、超党派で解決に進むのではないかと思っていましたが、動きがとれないようだ。プロジェクトチームにも失望している。参考人招致にでるよう打診されていたが、結果的には、それも原告が来ることは前例がないということで、原告参考人招致は拒否されました。私たちが訴えることが報道されることを必死に阻止しようとしているのは許されないやり方だと思います。何よりもまず、被害者である原告の話を聞く機会を与えてほしいと思います。国は、この問題に対して、岩のように動きませんが、闘っていきます。
大阪原告21番:先週の東京での座り込みは、大阪から多数参加しました。今日が大きなヤマだと言うことで体調をおして、仕事を休んで参加しました。年内解決に向けて大きな前進があると期待していた。しかし、何の進展もない。裁判所から再考を促されたキャリアへの一時金についての回答も全くない。
九州原告窪山さん:一縷の望みを抱いて和解期日に臨んだ。何の回答もなく、原告の気持ちを逆なでするもので、憤慨している。国は、どちらが加害者で、どちらが被害者かが分かっていない。切り捨てをせず、B型とC型で、救済対象を差別しないでほしいが、残念だ。