B型肝炎原告の政党ヒアリング

1 自民党ヒアリング
2010年10月27日14:00から、自民党本部101会議室で、B型肝炎訴訟原告団自民党ヒアリングが行われました。
田村憲久議員は、以下のように述べられました。
「国は解決の土俵を勝手にどんどん縮めている。増税が必要という宣伝まで行っていて、我々も不信感を感じている。
 先週も、細川厚労大臣の所信表明的あいさつがあったが、その中に薬害肝炎のことは触れているのに、B型肝炎のことはなかった。いったいどういう気持ちで行政に携わっているのか。被害者に対するあいさつ、謝罪、解決の方針についての説明があってしかるべきだ。
 札幌地裁で、昨日裁判長から、国が解決に向けて再考するよう促す話がでているそうだが、司法も、政府の対応に不信感を持っているということだろう。
 民主党もチームを立ち上げるそうだが、早急に解決すべきだ。」
 丸川珠代議員は、以下のように述べられました。
「野田財務大臣は、B型肝炎問題の解決に増税が必要だと発言したが、いったい何を考えているのでしょうか。しかもみなさまに賠償額が示される前でした。私はたいへん衝撃を受けました。明日は、財務・金融委員会があるので、質問をしてただしたい。」
 加藤勝信議員は、以下のように述べられました。
「私も、田村議員と同様、衆議院厚生労働委員会の理事です。薬害肝炎の時は、和解協議入りの後、舛添大臣と2回会って、さらに協議を行った。
 この問題で、後ろにいるのは官房長官だ。官房長官に皆さんの声を届ける必要がある。」

2 公明党ヒアリング
 また、同じく16:00から、衆議院第2議員会館で、B型肝炎訴訟原告団公明党ヒアリングが行われました。以下、原告の訴えです。
大阪の匿名原告の母
「23才の娘は、2才の時に、B型肝炎キャリアと言われました。娘は、2才までの間に輸血も手術もしていません。感染原因が分からず苦しんできました。すべて母である自分の責任だと責め続けました。差別と偏見をおそれ悩み苦しみました。2才の我が子に重い十字架を追わせてしまった親として、娘に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、国が危険性を放置していて、本当は国のせいだと分かりました。
 国は自らの責任を棚に上げ、ここまで病気を蔓延させてしまったのに、財源問題を理由にして責任転嫁をはかっているのは許せません。
 人の命をどう思っているんですか。人の命を天秤にかけるのは許せません。
 キャリアは、いつ発症するか、いつ肝ガンになるか分かりません。
 これから先も、肉体的、経済的、精神的苦痛が続きます。
 命の線引きをしないで下さい。我が子の健康を願った予防接種でこんな病気にさせるとは夢にも思いませんでした。娘を生まれたときの体に戻してください。予防接種を受ける前の体に戻してください。
 これは、明らかに国の犯した犯罪です。責任をとるのは当然ではないでしょうか。いまは発症していないキャリアにも償って頂き、安心して暮らしていけるよう、全面解決を図ってください。」
九州原告の尾崎芳文さん
「私は現在、37才です。5才から空手を始めました。親が健康になるようにと空手をするように勧めてくれました。高校でラグビー部にスカウトされました。そのときにB型肝炎に感染していることを知りました。激しい運動はするな、けがをすると仲間に病気を移すかもしれないと言われ、ラグビーをやめました。仲間には病気のことを打ち明けられませんでした。
 国は、キャリアは、発症する可能性が低いから一時金を支払わなくていいと言っていますが、私は、キャリアの時に、自分の生活を制限され、高校生活が一変しました。簡単にこの被害を切り捨てないでください。
 私はその後発症し、インターフェロン治療を受けました。注射をすると、数時間後に自分の体に誰かにのしかかられ、頭を締め付けられるような痛み、高熱におそわれました。
 インターフェロン治療は3回受けました。でも直りませんでした。
 現在抗ウイルス薬をのんでいます。これは病気の進展を押さえる働きしかありません。しかし2年前に耐性ができ、薬を変えなければなりませんでした。この薬が効かなくなったら、次はどうなるのだろうかと思っています。
 B型肝炎は、簡単に治せるような病気ではありません。私たちの納得できるような解決策がでていません。早期解決のために、ご尽力お願いいたします。」
続いて、国会議員からのあいさつがありました。概要は以下の通りです。
 古屋範子議員 集中審議を求めているが、引き続き最大限の努力をしていきたい。
 赤松正雄議員 先週以降の動きだけお伝えします。自民党からの呼びかけがあり、とりあえず、自民・公明のプロジェクトチームをやりましょうと言う話をした。
 坂口力議員 いよいよ決着しなければならない時を迎えたと思っております。大臣がことわりをいうことから話が始まる。細川大臣がやったことではないが、厚生労働省のことで起こったことなので、現在の大臣が責任をとるのは当然のことである。薬害は、許認可の過ちについて、大臣である自分が責任をとらなければならないと思った。あの当時、野党の皆さんは、「大臣は責任をとれ、責任をとれ。」とおっしゃったので、その責任をとらなければならない。天つばという言葉がある。いまこそ、大臣が皆さんにお会いして、お詫びをするべきだ。役人は、「ことわりは言わないでほしい。裁判が続いている。」というが、決断をするのが政治家だ。言わないと、だんだん言いにくくなる。だんだん謝りにくくなる。国会審議の後にも、細川さんに、「早いほうがいいよ」とお話しした。
 裁判所が中に入って話を進めているので、決着がつかなければ、最終的には裁判所が決断を下してくれるのだろう。しかし、それでは情けない。とにかく政府が誠意を尽くして、皆さんとお話をすることが大事であり、是非そうしてもらいたいと思っている。民主党政権なので、民主党にゆだねるしかないが、野党として、まとまって、言うべきことを言っていきたい。

3 民主党B型肝炎PT
 参議院議員会館で、B型肝炎PTが民主党の国会議員10数名、議員秘書約10名の参加で開催され、同じく17:15から、B型肝炎原告団弁護団による訴えが行われました。
 以下のあいさつ、訴えがありました。
山井和則座長
みなさん、訴訟の前に、肝炎というご病気で苦しんでいらっしゃるので、年内解決のためにプロジェクトチームを立ち上げました。
 こうやってお会いしても苦しみの一部しか聞けないと思いますが、政府とも協議していきますので、ぜひお話をお聞かせ下さい。
 福田衣理子議員
 毎回東京に集まられて、大変なことと思います。体もきつい、肝炎と闘い、裁判と戦い、1日も早く解決したい、どうなるかまだ見えないけれどもここまでやっときた、と言うところだと思います。
 年内に解決するよう、政府とも意思疎通をしたい。皆さんのご意見をお聞きしたい。政府にお伝えします。
谷口三枝子全国原告代表
 早く謝罪してほしい。早く償ってほしい。最近の国の報道に心を痛めている。国がマスコミを使って、被害者が膨大だから増税が必要だと、国民に理解と協力を求めなさい、と報道されている。差別・偏見で苦しんでいる上に、このような発言、まるで私たちが加害者であるかのような発言です。
 国は加害者です。謝罪と反省をしなければ、同じ悲劇が繰り返されるのではないか。私たちは苦しみ続けています。
 川柳集を作成しました。肝炎患者の叫びです。
「この国の 正義はいずこ B型肝炎
「我が国の 決断のなさ 命尽き」
「財源が ないならないで 謝罪せよ」
私たちの苦しみ、叫びです。年内解決へご尽力お願いいたします。
大阪原告小池さん
 私は慢性肝炎です。6年前に分かったときはかなり進行していました。薬の副作用に苦しみ、治療費に300万円かかりました。治療費はこれからもかかります。私の娘は、出産した後、慢性肝炎を発症しました。薬を飲んでいるのため、母乳をあげることはできませんでした。生活するため、体がしんどくても、働き続けなければなりません。
 B型肝炎の患者は、介護施設でも入所を断られている。私たちB型肝炎患者は行くところもないのでしょうか。抗ウイルス薬は、長期間飲み続けると効かなくなるばかりか、蓄積していき、腎不全になるおそれがあります。母子感染した息子はキャリアですが、いつ発病するか分かりません。抗ウイルス薬の服用を進められていますが、飲み始めたら一生飲み続けなければなりません。
 歯科技工士の息子は、職業柄、感染症のことでいろいろ思い悩み、引きこもってしまいました。私は、そのときは受け止められませんでした。後で息子の気持ちが分かり謝罪しました。しかし、本当は国が加害者なのです。国が謝罪してください。
 国は財源問題を先に出し、問題の解決を先送りしています。
 国はまず第一に謝罪してください。誠意ある対応で一刻も早い解決をお願いいたします。
 広島原告大山さん
 10月1日に、広島原告の1人が亡くなりました。6月に提訴して、悪い状況の中がんばってきましたが、和解が始まったばかりのこの状況をどんな思いで聞いておられたかと思うと苦しくて、胸が詰まる思いです。
 8兆円とか2兆円とか、膨大な金額を私たちの前に提示してきました。なぜそんな額になるのか分かりません。なぜ推定人数がいまになって出てくるのか、今出せるのなら、なぜもっと早く出さないのか。昭和30年代、40年代、50年代に対策をとってきてくれなかったのか。今になって、これだけの費用がかかるから、これだけの人数がいるから、まるで私たち患者が悪いかのような報道をされたら、ただでさえ、偏見と差別の中で病気と闘いながら長い人生を歩んできて、国民に増税を訴えるような言い方をされたら、私たちはいったいどこへ行けばいいのでしょうか。迫害されている、追いやられているというのが実感です。
 最初の提訴の平成元年から、実態調査をスタートしてもおかしくない事案だと思います。
 平成18年に最高裁判決でB型肝炎ウイルスの原因が予防接種であると言うことが司法の場で認めてもらえた。これで変わってくるのかと期待していた。
 私も被害者だと分かったので提訴しました。厚生労働省は、ある程度実態をどこかの時点で分かっていたのに、隠蔽して、出さないようにしてきたのではないか。
 真相を追及して頂きたい。私たちの納得のいくような形で説明して頂きたい。
 放置してきて除斥期間というのは納得できない。
柚木道義議員 PTのメンバーはしっかりお話をお聞きしました。今後のPTとしての活動に反映していきたい。