B型肝炎訴訟で、裁判長が国に賠償額の明示求める

2010年9月15日、札幌地方裁判所で、B型肝炎訴訟の口頭弁論(14:00)と進行協議期日(14:30)が開かれました。
 今日の和解協議で、原告側は、以下の点を訴えました。
1 B型肝炎患者とC型肝炎患者の命の値段に差をつけないこと。
2 被害者の切り捨て(予防接種を受けた事実、キャリア)を許さないこと。
3 年内に基本合意を成立させるために、次回10月12日には、被害者原告が検討するに値する内容を持った全体としての具体的和解案を求めること。
 これに対し、被告側は、以下の説明をしました。
1 市町村への調査の結果、予防接種台帳が相当数残っている。
2 インターネット調査によると、母子手帳は、若い世代は所持率が相当あるし、年配の世代は予防接種痕が相当ある。
 しかし、そもそも、昭和23年から昭和63年までに生まれたすべての国民は、6才までに予防接種を打っているのであり、ほかの証拠を出せという方が間違っています。
 国の調査で、「昭和20年代の台帳があった」という自治体は、「最も古い台帳」という整理がされているとおり、ぽつんと1年分あったにすぎない可能性があり、国は再調査中だと言っています。また、市町村合併などで、ごく一部のみ残っている場合も全体として「残っている」という回答になっていることは国も認めました。
 全国で網羅的に台帳が残っていると言うことを示す集計ではないので、必ず予防接種を受けているのに、たまたま住んでいた自治体の取り扱いの違いで切り捨てられる被害者が出てきます。
 インターネット調査による母子手帳の所持率についても、「母親が保管していると思う」など、いい加減な選択肢に対する回答数を、母子手帳の所持数に読み替えていて、お粗末です。一方で客観的証拠を出せと言いながらこんないいかげんな調査が許されるはずがありません。
 和解協議の最後に、裁判長は、「最後に残っている、金額面について、国の考え方がどうなのか次回期日にはお示し頂くよう、ご準備頂きたい。」と被告国に対して告げ、和解協議をすすめる強い意欲を示しました。