B型肝炎九州訴訟で和解勧告

 3月26日14:00からのB型肝炎九州訴訟の進行協議期日において、福岡地方裁判所(西井和徒裁判長)は、以下の通り和解を勧告しました。
「1 当裁判所は、本件訴訟につき和解を勧告する。
 2 当事者双方は、次回期日(平成22年5月17日)を目処に、救済の対象、救済
範囲に含めるか否かの認定基準及び原告らの症状の各段階ごとの具体的な救済方法に
ついて、和解協議に入ることができるかにつき検討されたい。
 3 当事者双方が、和解協議に入ることができるとの結論に達した場合には、次回以
降、前項の具体的内容等について、協議を進めることとしたい。」
これは、3月12日の札幌地裁における和解勧告につづいて、国の40年間もの加害行為を断罪し、被害者の早期救済をもとめるものです。
 福岡地裁では、現在、新規提訴分以外の本体(第1次〜第8次)訴訟は、口頭弁論期日が指定されず、弁論準備期日において進行協議手続きが進んでいます。これは、原告らの代表者の尋問を終えているという前提と考えられます。
 福岡地裁の勧告内容は、札幌地裁の勧告内容と若干異なっていますが、むしろ被告国が拒否することが困難な内容になっており、逃げ道をふさいだものともいえます。
 したがって、国が和解のテーブルに着くようにという裁判所の和解への意欲を強く示したものといえます。
 3月12日以降、原告らの面談要請にもかかわらず、首相以下担当閣僚は、全くこれを無視しています。
 口先だけで「命を守る」と言っているのでなければ、早急に原告らと面談し、その被害に耳を傾けるべきではないでしょうか。
 以下、全国原告団弁護団の声明です。

B型肝炎九州訴訟の和解勧告に関する声明      

                   全国B型肝炎訴訟原告団弁護団
                  
 本日、福岡地方裁判所は、B型肝炎九州訴訟について、和解を勧告しました。
福岡地裁は、従前より、和解による解決を示唆していましたが、本日、3月12日の札幌地裁につづいて正式に和解を勧告したものです。
これまで福岡地裁は、原告らの被害ランク別(慢性肝炎、肝硬変、肝ガン、死亡、無症候性キャリア)の代表者による原告本人尋問を終えたうえで、進行協議の中で原告被告双方の意見を聴取しながら、本件訴訟における主要な争点について整理を行ってきました。
今回の和解勧告は、福岡地裁も、札幌地裁と同様、最高裁判決で確定している国の責任を前提として、被害者を速やかに救済すべきであるとの立場に立って、和解を勧める姿勢を明らかにしたものとして歓迎します。
本訴訟が提起されてまもなく2年になります。この間、すでに九州訴訟で4名、全国で9名の原告が亡くなっています。現に病状重篤な原告も多数います。本件の解決には一刻の猶予も許されません。
「いのちを守る」と鳩山首相は何度も国会で演説しています。国の加害行為によって奪われようとしている原告らの命を放置することは絶対に許されません。
私たちは、被告国が、ただちに今回の和解勧告を受け入れること、そのために、まず首相をはじめ担当閣僚が原告と面会してその被害に耳を傾けること、原告・弁護団との協議をただちに開始することを強く求めます。

2010年(平成22年)3月26日