B型肝炎訴訟で、菅内閣が解決引き延ばし

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2010年6月19日10:30から、札幌地裁で、B型肝炎訴訟の進行協議期日が開かれました。
 原告は、国に対し、今日の期日には、被害者認定基準だけでなく、損害額もあわせた和解案の全体像を示すよう求めていました。
 しかし、国は、損害額はおろか、被害者認定基準すら示しませんでした。
 代わりに、別紙「和解協議に臨む国の基本的な考え方について」を読み上げました。
 原告が、1〜2週間ごとの和解協議を行うよう求めたのに対し、国は、「2週間という短期間での協議をすすめても、国は対応できない。損害額まで含めた和解案の全体像を示す目処は示すことができない。」という官僚答弁に終始しました。
 薬害エイズ訴訟の和解では、1週間ごとに和解期日が設定され、6ヶ月間、21回の和解協議で和解が成立しました。
 薬害エイズ訴訟を解決に導いたと所信表明演説で宣伝した菅首相は、薬害エイズ事件とは異なり、B型肝炎被害者を放置する姿勢を示しました。
 北海道訴訟原告代表の高橋朋巳さんは、「和解勧告から3ヶ月間、何も示されず、何も進んでいないと言うことは信じられないことだ。私たちの病気はどんどん進んでいる。肝炎対策基本法で、国の法的責任と書いているのに、政府の回答は何も進めないもので、許せない。」と訴えました。
 副代表の清本さんは、「具体的なものがでず、残念。原告の皆さんの病気が常に進行している。最初の裁判からは何十年もたっている。菅総理には早期解決の決断力を求めていきたい。」と述べました。
 北海道原告の高橋元一さんは、「今日は、『進行しない進行協議』で珍しいものを見た。国の人は、進行という言葉の意味をわかっているのか、それから教えてやらなければならない。先送りすることだけは優秀だ。」と述べました。
全国原告代表の谷口さんは、「国は、解決する気があるのか。全く見えない。先週の肝炎対策協議会で、肝炎対策基本法の前文が配布された。肝炎患者の人権を尊重すると書かれているのに、この裁判での国の対応は矛盾している。1日も早く私たちに謝罪と救済をすべきではないのか。菅首相にリーダーシップを発揮してもらって、一言、『B型肝炎問題を解決してやろう。』と言ってほしい。私たちの命の重みを考えてほしい。私たちは弱い立場なので、菅首相にすがる思いだ。」と訴えました。
 大阪訴訟原告代表の久永さんは、「今日の結果は残念。菅首相は、『どうやったらお役に立てるか、検討したい。』と述べているが、そういう問題ではない。2007年に、薬害肝炎について、『一律救済すべきだ、政治決断すべきだ。』と言った。今回は、なぜ自ら政治決断しないのか。一部は説明できると言いながら、なぜ今日示せないのか全くわからない。国には考え方を改めてほしい。患者が苦しんでいることを知ってほしい。」と訴えました。
以下の日程が予定されましたが、国は、国の回答を求められる期日については、すべて今日は決められない、7/6にしか回答できないと言ったため、明確な進行が決まりませんでした。
全国弁護団の佐藤代表は、「和解のための行程が示されない和解協議であり、和解協議と呼べるか疑問。和解協議入りの際に、和解の水準とテンポが重要であると述べたが、今日に至るまで、全く評価できない。本当に和解で早期に解決したいという姿勢ではない。和解協議入り前に、裁判所が争点整理を行ったものをさらに蒸し返す姿勢を示した。被害者の切り捨てを示唆している。」と指摘しました。
 7/28 15:00〜17:00に、原告側の回答の和解期日
 9/1 10:30〜 国の対応する和解期日の予定(原告らの要請と裁判所からの要請により仮に指定されている)
 7/6の期日において、裁判所は、9月中に、追加提訴分の弁論期日(終了後同日中に和解期日も続けて行う期日)を指定する予定。