B型肝炎訴訟、原告本人尋問採用

2016年9月5日11:00に、福岡地方裁判所で、B型肝炎九州訴訟の口頭弁論が行われました。52名の原告の和解が成立しました。
 また、慢性肝炎の原告に対して、国が除斥期間の適用を主張している原告番号403番さんに対する、次回期日11月28日13:30の期日における本人尋問の実施が決まりました。
全国B型肝炎訴訟では、2009年7月29日と10月13日にそれぞれ福岡地方裁判所で、「慢性肝炎」「肝硬変」「肝がん」「無症候性キャリア」「死亡遺族」のそれぞれの代表原告の尋問が実施されて以来の尋問の採用となります。前回の尋問は、2010年3月の和解勧告につながり、2011年6月の基本合意へ向けた大きな動きになりました。
 今回は、基本合意後初の尋問となります。
慢性肝炎の被害者のうち、最初に慢性肝炎を発症した後、セロコンバージョン(HBe抗原が陽性から陰性となり、HBe抗体が陰性から陽性になること)がおこったにもかかわらず、その後慢性肝炎を再発した方に対しては、再発時を除斥期間の起算点とし、それから提訴までに20年を経過していなければ、損害賠償請求を認めるべきだということが争点です。
 国からは、原告本人尋問をする必要はないという意見書が直前に出されていましたが、弁護団は、本日の期日前に反論意見書を提出しました。
 九州弁護団の小宮代表が、尋問の採用を裁判所に求めたところ、裁判所は、合議のうえ、次回期日(11月28日13:30)における原告番号403番さんの本人尋問を採用しました。
除斥期間とは、不法行為B型肝炎訴訟の場合、国の不衛生な集団予防接種の実施)から20年たったら、損害賠償請求ができないという考え方(民法724条後段)です。不合理な場合が多いので、その後の最高裁判例で様々な修正が加えられています。民法改正案では、廃止される予定になっています。
 無症候性キャリアから、「慢性肝炎」、「肝硬変(軽度)」「肝硬変(重度)」「肝がん」「死亡」と、被害が重くなるたびに、除斥期間の起算点を繰り下げることが認められます。同じ肝硬変でも「軽度」と「重度」とで起算点が異なるように、また、同じじん肺で「管理区分2」と「管理区分3」とで起算点が異なる様に、慢性肝炎でも「初発(HBe抗原陽性慢性肝炎)」と「再発(HBe陰性慢性肝炎)」とで起算点が異なることが認められてしかるべきです。
 全国のB型肝炎弁護団原告団が注目し、弁論のたびに各地の代表弁護士が意見を述べています。
 裁判所の審理、判断にご注目下さい。