監視カメラシンポ

 清水勉先生から、「今度監視カメラのシンポやるから協力して」と言われ、「『防犯』カメラはえん罪防止に役立っているか?」というシンポジウムに参加し、講演(「『防犯』カメラの功罪〜法的規制の提案」)と、元北海道警釧路方面本部長の原田宏二さんとともに討論をしました。
 配布レジュメは以下の通りです。
 また、末尾の通り、動画で見ることができます。
 講演では、監視カメラ画像がアナログからデジタルになり、かつAIの発達により、飛躍的に監視能力が高まった現状と今後について話しています。
 討論では、なぜ私が監視カメラ問題を取り組んでいるのか、短い時間ですが話をしています。
 長いですが、ご関心がある方は是非ご覧下さい。

監視カメラ、顔認証の現在 2016.3.26 武藤

第1 監視カメラの現状
 1 カメラの小型化、低廉化
 2 カメラの高機能化(録音+指向性)(歩き方、不審な動きを捉える)
3 カメラのネットワーク化(パスワード設定次第で流出)
 4 ウェアラブル端末
5 ドローン
 6 屋内カメラ(ビッグデータ
 7 増加する街頭監視カメラ
  (1) 警察が自ら設置し、または設置勧奨している街頭監視カメラ
 警察が自ら設置する街頭監視カメラの状況は、A 街頭監視カメラが2010年3月末現在、神奈川県において50台(警察庁)、それ以外の11都府県において411台(都府県警察)、B スーパー防犯灯が、16都道府県20地区に計240台(警察庁2008年3月末時点)、18都府県70地区に、529台(都道府県警2010年3月末時点)、C 一部で運転席と助手席に乗車するものの顔情報も記録できるNシステム(自動車ナンバー自動読み取り照合カメラ)は、2009年度末で1496式(1496カ所)、撮影の対象となっている車線数は約6000車線。
  (2) 自治体が設置し、または設置勧奨している街灯監視カメラ
台数がはっきりしているものとして、2010年7月時点で、杉並区1680台(区1180台、民482台)、江東区1113台(区973台、民140台)、町田市559台(市559台、民無回答)など。
  (3) 私人が設置する街頭監視カメラや、施設内監視カメラ
「国内の監視カメラは400万台あるだろう」防犯設備業界の関係者の推計(2013年4月12日付読売新聞大阪版)
2012年3月現在、鉄道の駅だけで6万1000台(国土交通省調べ、2013年8月25日毎日新聞
警視庁によれば、都内の街頭監視カメラは、官民合わせて約2570台、店舗内監視カメラは約8万台とされる(2008年12月17日付読売新聞、2009年1月9日付東京新聞)。
6 法規制の必要性
(1) 検挙効果、防犯効果
  (2) プライバシー権、令状主義、表現の自由にも波及


第2 顔認証の現在
1 しくみ
  (1) 画像から、「顔」部分を抽出(または、「顔画像データ」を使用)
  (2) 「顔」部分について、固有のデータ(「顔認証データ」)を抽出
  (3) あらかじめ登録されている「顔認証データ」と照合し、一致すれば同
一人物と判定する。
 → 「顔指紋」のように、人の同一性を特定可能
 2 利用されている例
(1) USJ年間パスポート会員
  (2) フェイスブックに投稿された画像への紐付け
  (3) 警察による組織犯罪捜査への利用
3 精度
  (1) 2013年4月12日付読売新聞大阪版
 NECの技術者の発言として「正面の顔画像なら本人を見逃す率は0.3%、他人が紛れ込む率は0.1%、160万人の画像との照合が0.3秒でできる。」というものを紹介。
  (2) 2013年7月27日共同通信
出入国審査、顔認証の導入見送り 法務省、精度低く」との見出しで、「空港の出入国審査を迅速化するため、機械で顔を識別して本人確認するシステムの導入を検討していた法務省が、実証実験で精度が低かったことを理由に導入の見送りを決めたことが27日、同省への取材で分かった。事前登録した指紋の照合だけで通過できる「自動化ゲート」に続く迅速化策が、事実上頓挫したことになる。
 法務省入国管理局によると、顔認証は、パスポートに内蔵されたチップの顔写真データと審査場のカメラで撮影した顔の画像をコンピューターで照合し、同一人物かどうかを確認する仕組み。英国やオーストラリアでは既に導入されている。
 法務省は2014年度からの実施を目指していた。」との記事が配信されている。
  (3) 最先端
 アメリ国防省の研究機関DAPRAが15億画素のカメラを試作。空から撮影しても顔認識、物体認識可能とのこと。
4 課題
 高精度のデジタル顔画像データのセンシティブ性の変化への対応
 「指紋」同様のデータを、公権力、捜査機関が自由に収集してよいか
→ 何らかの法規制が不可欠ではないか。
民間であっても、自由利用が許されると、特定人の行動履歴を検索可能にならないか。
(対抗ゴーグルの研究・開発もなされている。)

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