衆議院厚生労働委員会での参考人質疑

 2010年11月26日9:00から、衆議院厚生労働委員会で、B型肝炎問題に関する参考人質疑が行われました。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
 その中で、原告側が求めている、キャリアを切り捨てない全面解決の必要性について、参考人からの踏み込んだ発言が得られました。
香坂隆夫参考人(小児難病センター医師)は、以下のように述べられました。
「症状がないだけでキャリア期というのを分けるというのは、臨床上も困難があるし、それをフォローしていく立場としても非常に問題があるんじゃないかと思います。」
「単なる除斥期間と言うことで排除してしまうと、B型肝炎の問題点というのは後送りになるだけで何も解決しないんじゃないかということを危惧いたします。」
これに対し、キャリアを切り捨てることはやむを得ないという発言は、どの参考人も述べませんでした。
また、天野聰子参考人(肝炎対策推進協議会委員)は、以下のように述べ、政府がもくろんでいる、肝硬変患者内部でのチャイルドピュー分類(肝機能だけに着目し、致死性のある食道静脈瘤の有無や、肝ガンへの進展率等を無視した指標)による、軽傷・銃傷という区分が不合理であることを指摘されました。
 「夫は、食道静脈瘤破裂から5度目の肝ガンで亡くなるまで、入退院を繰り返す状態でも、チャイルドピュー分類Cが3ヶ月以上続くという状況には、1回もなったことがありません。夫がチャイルドピュー分類Cになったのは、亡くなる前1ヶ月程度でした。チャイルドピューA,Bでも、重篤な肝硬変でした。」
「チャイルド分類で重症度を分けてしまって補償金を分けてしまうと言うのは、私はおかしいと思います。」
さらに、戸田剛太郎参考人(東京慈恵医科大学客員教授 中央労災医員)も、次のように述べ、医学的観点から賛同されました。
「チャイルド・ピュー・スコアというのは医学的な分類なんですね。ですから、これを患者さんの障害の程度とかそういうのに当てはめるのは、僕はあまり賛成はできないという気がするんですが。」
国は、「裁判所の仲介の下で」というフレーズを繰り返して、当事者協議を拒み続けてきました。しかし、10月12日に、賠償額の提示を行うと同時に「税金の支出に国会での議論が必要だ」と、勝手に土俵を裁判所から国会に移すような無責任な発言をするようになりました。
 ところが、原告らの11月17日からの座り込みを受けて開催されることになった衆議院厚生労働委員会での参考人質疑では、キャリアの切り捨てが許されないことが白日の下にさらされました。
 B型肝炎訴訟全国弁護団代表の佐藤哲之弁護士は、「除斥期間の問題を乗り越えるために、議員立法が必要だ。」と指摘しました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010112600211
 国は、裁判所から再三求められているように、キャリアの被害者を切り捨てない和解案を提示する以外に、道理は通らないはずです。年内解決へ向けての真剣な検討が求められます。