B型肝炎訴訟福岡地裁で37名和解

 2012年7月18日16:00から、福岡地方裁判所で、B型肝炎九州訴訟の口頭弁論と和解期日が開かれました。
 本日、37名の原告(被害者数30名)の和解が成立しました。
 原告番号O(オー)7番さんは、予防接種の回し打ちで肝ガンになった兄を、今年の2月に亡くしました。
 高校時代に重量挙げの選手をし、高校卒業後は建設会社で働いていた体力が自慢の兄でした。5年前から疲れを訴えるようになり、4年前に肝ガンを宣告されました。喫一郎を受けましたが、昨年3月に、余命1年と言われました。その後、苦しい抗ガン剤治療を受けながらも裁判のことを知り、自分の手で資料を集めました。今年の2月には寝たきりの状態になり、緩和ケア病棟に入院しました。委任状も書きましたが、提訴予定の4日前に亡くなってしまいました。意見陳述の準備をして遺品を見ていたところ、兄の日記の中に、死を覚悟しながらも遺族を気遣う記載を見つけました。兄と家族の苦しみを知ってほしいと訴えました。
 原告の川添さんは、25才の時にB型肝炎に感染していることが分かりました。入院中も、食器を区別されたり、過剰な区別をされ、自分を病気をまき散らす存在であるかのような考えにとらわれるようになりました。ウェイトレスで働いている時にコックさんからプロポーズされましたが、健康な女性と一緒になった方が彼にとっていいだろうと思い悩み、病気のことは告げないまま、別れを告げました。病気で結婚をあきらめたと知り、両親は泣いていました。
 55才の時に迷いながら結婚しましたが、2年後、肝硬変で、胃の静脈瘤が破裂し、吐血して倒れました。夫の親族からも責められ、離婚することになりました。
 偏見におびえ、苦しんできたのが自分だけではないと知り、同じ患者さん達の力になりたいと、実名公表をして訴えました。

* 本日の和解
<被害者の内訳>
キャリア    600万円  1名 ← H5生まれの2次感染者。全国初。
慢性肝炎   1250万円 14名
肝硬変(軽度)2500万円  1名
肝ガン    3600万円 10名
死亡     3600万円  4名(遺族11名)
<原告の内訳>
福岡23名、長崎1名、大分1名、宮崎5名、山口4名、岡山1名、大阪1名、滋賀1名
男性26名、女性11名
10代1名、20代3名、30代6名、40代8名、50代9名、60代8名、70代2名
<九州訴訟和解者の現在数>
本日の和解により、福岡地裁76名→113名(原告数。被害者数では105名)、九州86名→123名(原告数。被害者数では115名)に。
福岡の和解者内訳:キャリア7名、慢性肝炎58名、肝硬変(軽度)10名、肝がん24名、死亡6名
<九州訴訟原告数:2012.7.18>
九州 731名(被害者658名)。うち、福岡地裁 639名(被害者569名)、熊本地裁42名(被害者39名)、鹿児島地裁38名、那覇地裁12名
<全国の原告数・和解数全国弁護団集計分>
2012.7.17時点で原告5221名(被害者4823名)
7.17時点で和解原告533名(被害者504名)

* 今後の予定
7/28 肝炎デー天神行動 12:00天神パルコ前で街頭宣伝
B型肝炎訴訟原告団、薬害肝炎訴訟原告団、九州肝臓友の会
8/28 14:00 沖縄訴訟第1回口頭弁論
8/31 15:00ころ 次回提訴予定
9/4 11:30 鹿児島訴訟和解
9/7 13:10 福岡地裁口頭弁論、和解