菅首相、「大臣」で新人議員に宣伝

 今朝の毎日新聞によると、菅首相が昨日民主党の新人議員41人を衆議院第1議員会館の部屋に招き、全員に自著「大臣」をくばり、橋本内閣の厚生大臣時代に薬害エイズ問題で官僚機構と闘った原点に返る姿勢をアピールしたそうです。同じく夕刊によると、今日の午前中も19人の新人議員に同じ懇談を行ったそうです。
 私も「大臣」を読んで感動しました。私の感動した部分は139頁に書かれている次のところです。
「原告は薬害に苦しみ次々と亡くなっている被害者であるのに対し、被告として直接対応するのは2年程度で次々と交代する厚生省の官僚である。薬の認可に関わる資料は厚生省以外ではほとんど入手不可能なのに、それも出さない。それでも証拠に基づく”公正な裁判”を何年も何十年もかけてやっている。これではとても国民主権のもとでの裁判とは言えない。法の下の平等憲法十四条)とは、形式ではなく、『実質的に弱い立場の被害者が早急に救済されるものでなくては意味がない。』(カギ括弧は引用者)
 薬害エイズ事件のように、明らかに役所が間違ったと分かる場合は、閣議で大臣たちが論じ合って決めればいいのである。一般の企業でも、消費者から訴えられた場合などは、その過ちを認めてすぐに賠償に応じるか、あくまで裁判で闘うかどうかは、取締役会で決めるであろう。その結果、裁判で負ければ仕方がないし、勝てば勝ったで正しかったと言うことになる。しかし、『自分たちでも間違ったと認められることは、すぐに解決に向けて努力するのが、結果的にはその企業にとってもプラスになる。
 このようなことは、まさに政治判断であるから、政治家の仕事と言える。』(カギ括弧は引用者)」
B型肝炎訴訟は、4年前の最高裁判決で、昭和20年代から明らかに厚生労働省が間違っていたという国の法的責任が確定しています。全国10地裁での裁判でも、国は、全くその法的責任を争っていません。
 この裁判の焦点は、国が、その法的責任に基づいて、役所主導、官僚主導ではなく、主権者である国民のための政治という、民主党菅首相の掲げる政治主導によっていかに迅速に解決するか、それ以外にはありえません。
官僚主導で政府が解決を引き延ばしている間に、肝ガン・肝硬変の被害者は次々と亡くなっています。一刻の猶予も許されないことは、薬害エイズ事件を和解に導いた菅首相なら十分分かっているはずです。
「大臣」を渡され、これを読んだ新人議員の方々には、是非この本に書かれている「菅厚生大臣のような」政治判断、政治家の仕事ができるようになってほしいと思います。「菅首相」が、「菅厚生大臣のような」政治判断、政治家の仕事をするよう、原点への回帰を強く求めて頂きたいと思います。
 民主党の代表選は、「菅厚生大臣のような」民主党の掲げていた理想を棚上げにせず、現実化するための道筋が見えるものであってほしいと思います。日本中が、二度と政権交代に期待しないような世の中にならないためにも。