B型肝炎訴訟札幌地裁で和解勧告

 B型肝炎北海道訴訟に関し、2010年3月12日札幌地方裁判所で、10時30分から行われた進行協議期日で、裁判所は、冒頭、以下のように述べ、全国初の和解勧告をしました。
「当裁判所は、本件訴訟につき和解勧告をする。
 当事者双方は、次回期日(平成22年5月14日)を目処に、和解協議に入れるか否かについて検討されたい。
 当事者双方が、和解協議に入れるとの結論に達した場合には、次回以降、救済範囲に含めるか否かの認定基準及び救済金額について、具体的な協議を進めていきたい。
 なお、当裁判所は、和解協議に当たり、救済範囲を巡る本件訴訟の各争点については、その救済範囲を広くとらえる方向で判断し、それとの相関で、合理的な救済金額を定めるものとするとの指針を持って臨むこととしたい。」

これに対し、全国原告団弁護団は、声明を発表しました。

全国B型肝炎訴訟北海道訴訟の和解勧告についての声明      
                  
                   全国B型肝炎訴訟原告団弁護団
                  
 本日、札幌地方裁判所は、全国B型肝炎訴訟・北海道訴訟について、和解勧告を行いました。
裁判所は、従前より、本件は和解による解決が望ましいとの考えを示していましたが、本日、原告・被告双方に、次回期日を目途に、和解協議に入れるか否かについて検討されたいと、正式に和解の勧告をしたものです。
この勧告で注目すべきは、裁判所が「和解協議にあたり、救済範囲を巡る本件訴訟の各争点については、その救済範囲を広くとらえる方向で臨む」との指針を示したことです。
これまで裁判所は、進行協議の中で原告被告双方の意見を聴取しながら、本件訴訟における主要な争点について整理を行ってきましたが、裁判所は、最高裁判決で確定している国の責任を前提として、被害者を広く救済すべきであるとの立場に立って、和解を勧める姿勢を明らかにしたものです。私たちは、この裁判所の姿勢を大いに歓迎するものです。
本訴訟が提起されてすでに2年が経過しました。この間、すでに北海道訴訟で3名、全国で6名の原告が亡くなっています。現に病状重篤な原告も多数います。本件の解決には一刻の猶予も許されないのです。
「いのちを守りたい」と鳩山首相は何度も国会で演説しています。にもかかわらず、誤った国の行為によって原告たちは命を奪われ、奪われようとしているのです。守るべき命がここにあります。原告たちの命を守らずして、「いのちを守りたい」とは到底言えません。
私たちは、被告国が、今回の和解勧告を受け入れ、B型肝炎訴訟を全面的に解決する方向に姿勢を転換し、一日でも早く和解を実現させること、そして、そのために、原告・弁護団との協議をただちに開始することを強く求めるものです。

2010年(平成22年)3月12日