新聞出版差し止め事件和解

 宮崎では、地元の旬刊新聞が破産者の免責決定を漫然と掲載し続けるために、地域社会で平穏な生活ができなくなることを恐れて、無理に破産を回避するなど、裁判上の救済を受ける権利を侵害される人が存在しました。
 破産申立をする必要があるのに、社会に公開されることを恐れて躊躇していた方が、旬刊宮崎社に対し、破産情報掲載差し止めの仮処分を、本年4月16日に宮崎地方裁判所に起こしました。
 そして、本日、宮崎地方裁判所で和解が成立しました。
 和解条項は、
1 債務者(旬刊宮崎のこと)は、債権者(申立人のこと)に対し、今後、別紙目録記載の新聞に、債権者を含め、個人の破産情報を掲載しないことを確約する。
2 本件申立費用は各自の負担とする。
というものです。
 表現の自由報道の自由といえども無制約ではなく、個人の名誉やプライバシーに対する侵害のほうが、報道によって得られる利益よりも大きい場合には違法な活動となります。もともと名誉毀損罪は、その理を認めているわけです。
 相手方は、とてもまじめに多重債務問題を考えたり、破産者の再生を考慮したものとは思えませんでした。
 わが国には、他にも、稀にこのような小さなメディアが存在するようです。
 本件は、仮処分によることなく、弁護士会人権擁護委員会の活動によって停止させることが可能な事案のように思われました。
 各地の弁護士会が毅然と対処することによって、地域の人たちの権利を守ることが求められていると思います。