大崎事件第3次再審申立

 2015年7月8日13:00、鹿児島地方裁判所に、大崎事件の第3次再審申立を行いました。申立書は、車いすで入場した原口アヤ子さんご本人が書記官に渡しました。
 今回の新証拠は、法医学鑑定と心理学鑑定の2つです。
 法医学鑑定は、東京医科大学吉田謙一教授(東京大学名誉教授)の意見書です。
吉田鑑定は、本件死体に死斑・血液就下が認められないことが、急性窒息死とは矛盾すること、すなわち確定判決の事実認定がこれだけでもすでに誤っていることを解明しています。これに加え、本件死体の頚部に圧迫痕跡がないことから、絞殺による窒息死という確定判決の事実認定が矛盾することを解明しています。
 また、淑徳大学大橋靖史教授、青山学院大学大学院高木光太郎教授による心理学鑑定書は、第2次再審第2審において、有罪の根拠とされた親族の供述が非体験供述であることを解明しています。
これらの証拠から、確定判決の事実認定は誤っており、再審が開始されるべきです。
 また、申立直後に、裁判官と弁護団との短時間の面談が行われました。その中で、裁判官からは、本件を時間をおくことなく、通常の刑事事件同様に必要な審理を計画的に行っていく旨のご説明がなされました。
刑事再審事件は、申立がなされてもなかなか審理が始まらないのが通例です。その意味で、裁判所の積極的な姿勢はすばらしいものです。
 弁護団は、吉田謙一教授と、大橋靖史教授、高木光太郎教授の証人尋問を申請しました。これらの尋問が速やかに行われることを強く望みます。
14:00から、報告集会が行われました。
 日弁連人権擁護委員会松尾康利副委員長、鹿児島県弁護士会大脇通孝会長、大崎事件弁護団森雅美団長が、それぞれあいさつをされました。
 続いて、弁護団から事件の概要の説明や決意表明をしました。
 鹿児島大学大学院中島宏教授による再審理論の講演がなされました。新証拠による明白性判断における学会の状況と、判例の現状について話されました。
 また、映画監督の周防正行氏と成城大学指宿信教授との対談で、取り調べの可視化を中心とする刑事司法制度改革の論争の中で、最初は証拠開示や可視化を進めようとしていた流れが後半で変化していった様子が赤裸々に語られました。
 布川事件の桜井昌司氏、足利事件菅家利和氏、志布志事件の藤山忠氏、川畑幸夫氏から、それぞれ応援のメッセージをいただきました。
 日本国民救援会中央本部鈴木猛事務局長、同大崎事件の再審をかちとる首都圏の会中出匡彦副会長から支援者としての決意表明をいただきました。
 最後に、日本国民救援会鹿児島大崎事件再審をめざす会宮地利雄会長から、支援の力強いメッセージをいただきました。
 弁護団は、鑑定人の証人尋問の実現と、その成功のために尽力します。