「個人情報トラブル相談ハンドブック」

 今日、新日本法規出版から、「個人情報トラブル相談ハンドブック」が届きました。
 この本は、個人情報保護法の運用に関わる公的団体、企業、弁護士などを対象として、過剰反応に陥ることなく、個人情報を適切に管理、利用できるように日弁連情報問題対策委員会委員17人が共同で執筆したQ&A集です。
 全体で60の事例が掲載され、私も「第9章 裁判、紛争処理、弁護士業務におけるトラブル」の中の5例を担当しました。
 個人情報保護法の施行により、それまで回答されていた弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づく、弁護士の依頼者の権利の有無の確認のために実施される、弁護士会が主体として行う調査活動)への回答が無視されたり、裁判所の文書送付嘱託、調査嘱託などに対する拒否事例が増えるなどの過剰反応が現れています。
 もともと、公務員に課されている守秘義務にかかる事項でさえ、これらに対する回答を行った場合の弊害と、回答によって得られる利益を具体的に比較して、前者が上回ると判断される場合にしか回答拒絶ができません。
 個人情報保護法は、プライバシー情報(一般に知られていない私生活上のことがらのうち、その人が人に知られたくない情報で、かつ一般の人も知られたくないだろうと思う情報)より要保護性の低い、単なる識別情報にまで、保護の裾野を広げただけですから、それによって、以前から保護されてきたプライバシー情報が、一切外に出なくなると言うことは予定していません。
 官公庁の中には、比較考量を全く行うことなく、一律に拒否するところもあり、明らかに法を誤解したものです。
 特に、第三者提供などで迷われている方には、是非ご参照を頂ければと思います。
 弁護士会の活動として執筆しているものなので、報酬や印税は生じませんが、是非ご利用下さい(定価は3780円です)。