「監視カメラとまちづくり」シンポ

 7月21日午後1時30分より、福岡県弁護士会館3階で、福岡県弁護士会と九州弁護士会連合会の共催で、人権大会のプレシンポとしての「監視カメラとまちづくり」シンポを行いました。
 「治安政策としての『安全・安心まちづくり』」という著書を出された清水雅彦先生の生活安全条例に関する講演と、福岡大学名誉教授石村善治先生によるドイツの監視カメラ規制に関する講演のあと、青パト(青色パトロールカー:民間団体が走らせるパトロールカー)を走らせ始めた青年会議所の担当者、福岡県防犯カメラ活用検討会議の会長である木村俊夫教授、清水先生、主催者側として私がパネリストとしてパネルディスカッションを行いました。
 清水先生の話も分かりやすく、パネルディスカッションもかなり白熱しました。
 カメラの設置・運用をめぐる議論としては、県が、設置は規制せず、運用だけ規制すればよいのだというガイドライン方式を進めようとしていることについて、私の方からは、「公道に対する設置の基準は不要なのか。シンポの趣旨としては必ずしも穏当ではないが、子どもの安全を守るためと称して、一市民が小学校の校門に対して監視カメラを設置して24時間録画し続けたらどうか。PTA会長ならよいが、小児性愛嗜好のある人ならダメと言うことになるのか。感情ではなくて、論理によってルールを決めるべきではないか。」「カメラの設置者は善意だから警察への第三者提供等の運用を一任してよいか。よいことと思って、警察の要請のままに画像が提供されると、集会参加者の画像すら流出する危険がある(上川端商店街の隣は、メーデー会場)。」と問題提起をしました。
 木村教授は、「活用会議は、もともと活用ありきだった。8回は議論すべきだと思ったが、最初から3回で、締めきりの時期も区切られていた。監視カメラを市民が監視する仕組みが必要。」と述べました。
 新潟の齋藤弁護士から、公権力による市民情報の収集自体の問題点として、防衛庁リスト問題と、陸上自衛隊の問題、青法協の宿泊者名簿事件について、会場発言をいただきました。
 なお、県弁と九弁連共同の宣言(具体的にその場所で起こりうる犯罪の軽重や蓋然性を度外視し、抽象的な『安全』や、単なる主観にすぎない『安心感』のために人権を制約することは許されない。警察が、監視カメラを設置している団体に対して任意に情報提供を求めうる範囲は、少なくともそこで起こった犯罪に限定し、その他の場所で起こった犯罪のための情報は、令状に基づいて取得されるべきである。福岡市は、監視カメラの設置・運用に監視、適正手続きやプライバシー権に十分した条例を定めることなく、該当への防犯カメラの設置・運用を自ら行ったり公金を支出すべきではない。等)を採択しました。