B型肝炎九州訴訟提訴

 午後3時に、福岡地方裁判所に対し、51名の弁護団は、「ウイルス性肝炎患者の救済を求める全国B型肝炎訴訟・九州訴訟損害賠償請求事件」の提訴を行いました。
 国が、集団予防接種時の注射器の連続使用により被接種者が肝炎ウィルスに感染することを当然に予見し、実施機関に対して注射器・注射筒の1人ごとの交換を指導監督してB型肝炎ウィルス感染を未然に防止すべき義務があったにもかかわらず、これを怠った責任に基づく国家賠償請求事件です。
 国に責任があること自体は、平成18年6月16日の最高裁判決で明らかになっているにもかかわらず、国は、この加害責任に基づく被害調査を一切行いませんでした。そして、「判決は、5人の原告を救済しただけだ。」と居直り、被害者の救済を拒否しました。 
 今回は、札幌地裁(9名)、広島地裁(3名)、鳥取地裁(1名)とあわせた全国一斉提訴で、九州訴訟は、20人の原告で提訴しました。
 原告は、集団予防接種によりB型肝炎に感染した被害者(1次被害者)、1次被害者から母子感染した2次被害者、1次被害者の遺族、これらの立場が重複した方であり、国の政策による被害者からの母子感染による2次被害者が含まれている点は、全国初でした。
 このうち、被害者20名(男性10名、女性9名、死亡1名)で、その他は遺族でした。
 生存被害者の年代は、20代 3名、30代 3名、40代 4名、50代 5名、60代 4名、平均年齢 48.8歳でした。
 また、原告居住地は、福岡県11名、佐賀県1名、大分県2名、熊本県1名、鹿児島県2名、山口県1名、愛知県1名、東京都1名でした。
 また、被害者の肝炎ステージは、無症候性キャリア 2名、慢性肝炎 12名、肝硬変・肝癌 5名、死亡 1名でした。
 門前集会で、実名原告の佐藤さんは、肝炎の発症で、会社を退職し、マラソンや登山などの趣味も断念することになった無念さを訴えました。また、記者会見の席で、実名原告の荒金さんは、自ら被害者でありつつ、娘に母子感染させた加害者としてのつらさと、闘病のため家族で月4万円もかかる治療費に対する国の保障を訴えました。
 今後、東京を含めた全国で110番を実施し、国の政策による被害者を実態を調査し、原告を募り、国に対し、被害を償うとともに、安心して肝炎治療を受けられる体制を確立するよう求めていきます。