裁判長が、キャリアの救済の必要性を明言

 2010年12月7日15:00から、札幌地方裁判所で、B型肝炎訴訟の和解期日が開かれました。
 国は、前々回、前回と、2回にわたって、キャリア被害者への救済を再考するよう求められていましたが、今回も、「今日のところ、皆さん方にお伝えする具体的な提案はない」という回答でした。
 また、裁判長は、前回期日に、国が裁判所に伝えた内容の全部を、原告らに伝えているわけではないということ、従って、報道されている厚生労働大臣の発言は、実際の経過と異なることを明確にされました。
 佐藤弁護団長は、「細川大臣や仙石官房長官が年内解決を明言していることからすると、残り1期日だけでは年内合意は困難であり、もう1期日入れるべきだ。
 しかし、国はそれは困難といっているようだが、残り1期日で可能と考えているのか、それとも年内合意をするつもりがないのか、どちらなのか。後者なのか。年内合意を目指して努力したいというのは言葉だけだったのか。」と国の態度をただしました。
 国の代理人は、「最大限の努力をしていきたいということは変わっていない。大臣発言についてはいえる立場にない。」と回答しました。
 裁判長は、年内にあらたな和解協議期日を入れる労はいとわないとの見解を表明しました。
 国の代理人は、「今日は期日指定を受け入れるかどうかの回答はできない。」と述べましたが、明確な拒否はしませんでした。
 裁判長は、最後に、「キャリアになられて20年以上経過した方も含めて、集団予防接種によってB型肝炎に感染された患者の皆様方の早期救済に向けて、双方ともなおいっそうの努力をお願いしたい。」と述べました。
 あえて「20年以上経過した方も」という表現がとられているのは、国が除斥期間を主張しているキャリア被害者も救済すべきだと言うことを明らかにするものです。

以下、記者会見における原告らの発言です。
高橋北海道原告代表
 国は、何の回答も持ってこなかった。早く解決していこうという態度は全くみられなかった。
 清本北海道原告副代表
 裁判長から、きちんと、20年以上経過したキャリアの方を救済するよう明言していただきました。これは、除斥期間が問題となっていることを前提として、20年以上ということを明言してくれたと思う。「救済範囲を広くとらえる方向で」という和解勧告の指針がまだ生きていることが確信できた。
 みんなを救えるようにがんばりたい。
高橋元一北海道原告副代表
 今日の和解協議は、前回、裁判長が国にいろいろ宿題を与えたつもりなのに、今日は手ぶらできました。
 国は和解する気がないみたいだ。キャリアは救済しない、という点は前回と代わりがない。国は、最後は声を荒げた。そこで裁判長は、キャリアになって20年以上たったものも救済するよう求めた。国は、今日の段階では全く和解をする気がない。何しにきたのか、これと同じ状況なら、もう来なくていい。
 谷口三枝子全国原告団代表
 加害者なのに、原告を小馬鹿にしたような態度でものを言う。腹立たしくて許せない。加害者としての謙虚さがない。年内基本合意をする気はない。私たちの気持ちが踏みにじられました。
 一つだけうれしかったのは、裁判長が、キャリアを切り捨てるなと言うことを明言してくださったことです。
 最後まで望みを捨てません。