B型肝炎訴訟、九州でも国は加害者の自覚なし

会見での旗だし

2010年7月12日午後2時から、B型肝炎九州訴訟の和解期日(弁論準備期日)が開かれました。
 国は、6月21日と7月6日の札幌地裁での対応と同じ対応を行いました。
 国は、3月12日の札幌地裁での和解勧告から4か月たったにもかかわらず、被害者の認定基準すら明確に示しませんでした。
7月6日の札幌地裁での和解期日に際しては、あらかじめ、「母子手帳が無くとも救済を認める方針」という情報をリークして、あたかも救済範囲を広げ、柔軟な対応をするかのような姿勢を流しました。
 しかし、実際の和解期日においては、「母親の陳述書と、母子手帳の記録では、証明力が大きく異なる。なにか客観性の高い証拠がないか検討している。」などという答弁に終始し、「母子手帳が無くても、この証拠があれば、被害者と認定できる」という基準は全く示しませんでした。しかも、その基準をいつまでに示すのかすら説明しませんでした。
 原告団弁護団は、このような不誠実な国の対応を厳しく批判しました。
 本日の九州訴訟の期日においても、国は、「母子手帳の代替立証について、十分な詰めができていない。裁判所や原告のご意見を伺って詰めていかなければならない部分がある。予防接種の禁忌(打ってはならない場合=重大な心臓病に罹患しているなど)の報道は、それがあったら被害者でないことがはっきりする資料だと言うだけで、それが除外できたら被害者と認定してよいという意味ではない。資料を総合的に判断しないといけない。予防接種台帳も、全自治体が保管しているかわからない。あるものはどうするか、無いものはどうするか、今の時点で、明確な案はない。」として、被害者認定基準は示さず、その時期についても明確にしませんでした
 国は、「国として確実に譲れると言うところは、今示している部分のみ。他の部分については、ご指摘を受けながら考えたい。」として、被害者認定基準の確定について、どれだけ時間がかかってもかまわない姿勢を明らかにしています。
 しかも、「除斥期間、賠償額についての対案をいつ出せるかというのは、まだいえる状況ではない。」として、和解案全体を示す日程については全く明らかにしていません。
 にもかかわらず、法廷外で、実務協議を持つ考えはないと明言しています。
およそ、国が加害者としての法的責任を自覚して、被害者に速やかに謝罪し、償おうとしていないことは明らかです。
 弁護団は、7月28日の札幌地裁の和解期日までに、国の主張に反論することとし、その次の和解期日(弁論準備期日)である9月6日14:00〜15:30(福岡地裁)までに国の再反論を受けることとなりました。
 国の対応に対し、以下の声明を発表しました。
 記者会見で、原告団代表の谷口三枝子さんは、「原告の多くは高齢で、肝臓ガンなどを発症して死の淵でおぼれようとしている。超党派ではやく救命ボートを出して頂きたい。」と訴えました。肝臓ガンの再発で入院を予定している窪山寛さんは、「民主党政権は、野党の時には、早く和解で解決しろと言っていたのに、自分が政権を取ると全く無責任だ。」と厳しく批判しました。
 「命を守る」といってB型肝炎被害者を放置した鳩山首相薬害エイズ訴訟を解決したと所信表明演説で誇った菅首相、このような民主党政権に、国民が求めている政策の実現をする能力はあるのでしょうか。言うことがころころ変わって、結局和解できないという「辺野古」風決着、「消費税額論議」風決着を、菅首相が回避できるのかが、今後の争点になります。