厚生労働省山井政務官、B型肝炎訴訟解決に前向き

 今朝の西日本新聞の朝刊によると、昨日、厚生労働省内で行われた、薬害肝炎事件検証・再発防止委員会で、厚生労働省山井和則政務官は、全国B型肝炎訴訟について以下のような発言をされ、早期救済に前向きな姿勢を示されたそうです。
 「(原告が)闘い続けることがないようにしていかないといけない」「医療行政の被害者が、裁判に訴えないと十分な医療が受けられない状態は、二度とあってはならない」

山井政務官は、薬害C型肝炎問題の解決に尽力され、全国B型肝炎訴訟の早期解決についても、2009年4月1日の衆議院での質疑において、当時の舛添厚生労働大臣を厳しく追及され、6月16日の舛添厚生労働大臣と札幌の最高裁原告との面談を約束する答弁を引き出されていました。
 政権交代後、厚生労働省の要職に就任され、厚生労働省の官僚の方々から「B型肝炎訴訟の解決は困難だ」というマイナスイメージのプレゼンテーションを受けておられると思いますが、このような官僚の方々の抵抗に屈して考えが変わることなく、毅然とあるべき厚生労働行政の筋道を追求されていてとてもすばらしいことです。
 B型肝炎訴訟の実際の進行を見ていると、訴訟に出てくる国側の対応は、このような政務官の姿勢とかけ離れているように思います。
 官僚の方々も、「国民の生命・健康を守るために最善の努力を行う」という厚生労働省の本来の役割を思い出して、早期解決に向けて知恵を出し、それが評価されるような省内のシステムが構築されることが、新政権の課題ではないでしょうか。
 是非、官僚の方々に、山井政務官の、以下の2009年4月1日の質疑をかみしめてほしいと思います。

○山井委員 そこで、この配付資料にもありますが、十八年闘って、これはもう最高裁で判決が出ているわけですね。こちらの配付資料の十二ページにありますように、予防接種で五人の方がB型肝炎に感染されたということで賠償命令が出た。そこで、当時の中島健康局長は、原告の方に対して国の賠償義務が認められたことについては重く受けとめております、この原告の方に対しては、まことに申しわけない気持ちであり、判決に従って迅速に対応したいと思っておりますと。
 これは大臣、今も二百八十五人の方が全国で訴訟されています。母子感染でない、そして輸血を受けていない、そういうふうなことで予防接種の可能性が極めて大きいわけですが、やはりこれは、十八年間も闘われたということは、たった五人のためだけじゃないんですね。
 そして、この十二ページの中に、B型肝炎に詳しい飯野四郎病院長のコメントも出ています。下から六行目。B型肝炎の患者、感染者百四十万人の「ほぼ半数は使い回しの注射器を使った注射など、医療行為による感染とみられる」というふうに、この権威の飯野先生もおっしゃっておられるんですね。だから、たった五人じゃないんです。
 大臣、このB型肝炎についての、結局国の責任ということに関してどうお考えですか。

○舛添国務大臣 五名の方は最高裁の判決がありますから、これは当然、国の責任があるということ、要件が認定されたということで非常に重い責任があると思っております。

○山井委員 五名の方の話をしているんじゃないんです。五名の方は、百四十万人の代表として裁判されているんです。飯野教授も、半数ぐらいは予防接種じゃないかと。五人だけが予防接種を受けたわけじゃないんですから、トータルのB型肝炎の方々の感染に関して国がどういう責任を感じているかということを聞いているんです。

○舛添国務大臣 それは、どういう理由で肝炎になったかという証拠の確定がきちんとしなければならないので、そのために最高裁がそれを確定したわけですから、そこで国の責任が、例えば予防接種のそこに書いてあるようなたらい回しのようなことがあれば、これは責任であるということですから、証拠に基づいて、要件の確定がまずは前提だと思っております。

○山井委員 私は、そういう答弁を聞いていると、昨年の薬害肝炎のあの和解は何だったんだと。要は、救済してほしかったら訴訟しなさいと。十八年かかって、その間にお亡くなりになられた方もおられるわけですよ。ですから、薬害肝炎の弁護団の代表の方も、最後におっしゃったのは、被害を受けて、病気で苦しんでいる当事者が必死になって動き回らないと救済されないようなことはもう二度とやめてくださいということを最後におっしゃったわけです。
 今、全く同じことをさせているわけです。ということは、舛添大臣の答弁でいくと、救済してほしいと思ったらみんな裁判しなさい、そういうことですか、これは。
 そこで、配付をしております十四ページにも、きょうも傍聴に来られていますが、桜井則子さんもB型肝炎と診断されて、今非常に苦しんでおられます。インターフェロン治療を受けられたわけですけれども、根治はせずに、ずっと今も治療を続けておられるわけですね。
 また、坂岡さんは、お子さんがB型肝炎で亡くなられた。集団予防接種の可能性が極めて高い。
 みんな必死に病気と闘いながら、二百八十五人、全国で闘っておられる方の中には、肝硬変になった方、肝がんの方、もう余命幾ばくもないと言われている方もおられるんです。
 そういうことじゃだめだからということで、ここにおられる自民党公明党の先生方とも協議をして和解に導いたわけですね、薬害C型肝炎は。特に、公明党の太田代表もこの集会にもお越しいただいて、この肝炎の問題、党派を超えて、私たち国会議員は今やろうとしております。自民党も非常に熱心にやってくださろうとしております。しかし、申しわけないけれども、厚労省が一番後ろ向きなんですね。
 これはもうストレートに申し上げますが、二百八十五人、また十八年させるんですか。皆お亡くなりになってしまいかねないですよ。そうじゃなくて、やはり一日も早く和解に結びつける、これが薬害肝炎の教訓だったんじゃないですか。C型薬害肝炎の方々があそこまで頑張ったのは自分たちだけのためではないんです。三百五十万人もの多くの肝炎患者全体の救済のために頑張られたんですよ。それを、あれとこれとは別だ、B型肝炎は一人一人訴訟してください、これはおかしいんじゃないですか。大臣、いかがですか。

○舛添国務大臣 C型肝炎の場合も、和解をするかどうかというのは、裁判の土俵の中で一生懸命努力をして、なるべく和解に持っていけるようにみんなで努力をして、最終的には議員立法という形になりました。ですから、証拠についての要件の確定は、これは訴訟の場でやらないといけないわけです。
 その上でそれが、例えばフィブリノゲンの場合も、カルテが残っていなくても、先般あったように、それを推証できる十分な証拠があればそれを採用していただくわけですから、そういう形での一日も早い解決に、我々も、きちんとそれは支援をしていきたいと思っております。

○山井委員 改めてお伺いします。
 まさにおっしゃるとおりです、訴訟ですから。でも、私は、まさにC型肝炎の問題も解決に導かれた舛添大臣だから質問しているんです。このB型肝炎の問題、和解に持っていきたいというような思いは、個人的にでも結構ですが、大臣はお持ちなんですか、どうですか。

○舛添国務大臣 C型肝炎のときにもありました、例えば入れ墨をする、そういうことで感染する場合があったり、いろいろな場合があるわけですから、そういう中で、何が感染原因であるかというのはこれは特定しないといけない。これは一つの法的な要件でありますけれども、現実に、自分はどう考えても、予防接種でたらい回しが自分の原因であるということ、これをなるべく確定できるいろいろな材料を集めて、それは一日も早くそういう方を救ってあげたい、そういう気持ちは変わりません。
 したがって、C型、B型を問わず全体の肝炎の問題、どういう形で解決を考えていくか、それはまた与野党を通じて、この委員会の皆さん方の御意見も賜りながら、一緒にそれは前に進めていきたいと思っております。

○山井委員 その和解がおくれればおくれるだけ医療費助成もおくれますし、救える命が失われるから、私も必死でこれをやっているんです。
 そこで、これは最高裁で闘っておられる木村原告を初めB型肝炎の方々、私、この委員会でも何度も会ってくださいと大臣に言いました。ところが、訴訟中だから会えないということだったんですよ。これはもう最高裁で結審したんですよ。国が敗訴したんですよ。
 そこで、大臣、さすがにもうこれは会われるべきじゃないですか、最高裁で結審した方々の原告に関しては。大臣、いかがですか。

○舛添国務大臣 訴訟中であれば、司法の判断に行政の長が影響を与えてはいけませんから、そういう意味ではそれは慎まないといけない。ただ、国会日程や何かで時間が許せば、それはお会いして、それは原爆症の方々もC型肝炎の方々も、それからさまざまな難病の方々も、時間の許す限りお会いして直接声を聞いていますから、そういう機会を時間が許せば持ちたいと思っております。