B型肝炎訴訟原告団・弁護団と山井政務官との面談

 2009年10月16日9:00より、全国B型肝炎訴訟原告団弁護団と、山井和則厚生労働政務官との面談が実現しました(政務官とは、大臣・副大臣に次ぐポストであり、従来は名誉職で実態は官僚の説明をそのまま受け止めていたとされ、政権交代後の新政権では、官僚支配を打破するために一転して自ら情報を収集し、分析して官僚を指示、コントロールする責任を負うようになった多忙な激務の職務)。
 原告団弁護団は、全国B型肝炎訴訟の早期全面解決への要請であることを明示して、厚生労働省の担当者と調整を行ってきました。
 従来であれば、まず、「現在多忙であるから面談は困難であるが、何とか調整中である。」という官僚答弁しか出ず、面談にこぎつけることは極めて困難でした。しかし、政権交代後、民主党の山井政務官は、「現在係争中の原告団弁護団とは原則として面談しない。」という官僚主導による慣例を破り、しかも、前日まで2010年度予算概算要求締め切りのため多忙を極めた中、時間を割いて面談を実現されました。
 山井政務官は、「最高裁で勝訴した原告だけの問題でないと受け止めている。長妻大臣と訴訟についてどうするか検討したい。これ以上、長引くと事態は悪化するだけであり、政治責任は求められている。」と、訴訟の早期全面解決に前向きの発言をされました。
 10:00から、民主党有志によるヒアリングが行われました。ここでも、窓口となる福田衣理子議員の他、衆議院厚生労働委員会委員長である藤村修議員、衆議院厚生労働委員会筆頭理事である内山晃議員も出席され、「政務官面談の実現も含め、新しい政府は、今までの慣例にとらわれず動いていく。私たちも早期全面解決に尽力していきます。」との力強いお言葉を頂きました。
 12:00からは、厚生労働省前でB型肝炎訴訟の早期全面解決を求める街頭宣伝行動を行い、13:30からは、東京訴訟の口頭弁論期日が開かれました。
 山井政務官との面談の実現について、16日のフジテレビニュースジャパンで1分30秒にわたって報道されています(以下のURLで見られます)。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00164915.html
B型肝炎訴訟の早期全面解決にむけて大きく前進した東京行動となりました。
 以下、大臣宛要請書です。
                
B型肝炎訴訟の全面解決を求める要請書

厚生労働大臣 長 妻  昭 様
                  2009(平成21)年10月16日

全国B型肝炎訴訟原告団
  共同代表  高  橋  朋  己 
  同     坂  岡  佳  子
  同     谷  口  三枝子
全国B型肝炎訴訟弁護団・全国連絡会
  代  表  弁護士 佐 藤 哲 之

私たちは、国が集団予防接種において注射器を連続使用したことにより、B型肝炎ウイルスに感染させられた被害者及びその弁護団です。現在、全国10か所の裁判所で、351人が原告となり、国に対して損害賠償を求めています。
 2006年6月、最高裁判所は、1989(平成元)年に札幌の5人の原告が起こした裁判において、国に対し、原告全員に損害賠償を命ずる判決を言い渡しました。ところが、その後も国は150万人いるといわれるB型肝炎患者・感染者に対し何らの調査もせず、対策を取ろうともしませんでした。
 そのため、B型肝炎に対する国の責任をあらためて明らかにし、同じ被害者に対し同じ被害回復を求めるとともに、B型肝炎患者の実態把握と一般施策の実施を求めて、新たに全国各地で裁判を提起したのが全国B型肝炎訴訟です。
 国は、B型肝炎を蔓延させた責任にもとづき、原告のみならずすべての感染者に対し恒久的な肝炎対策をとる責任があります。この闘いは、裁判を通じてだけでは実現できるものではありません。訴訟解決のための特別立法により早期解決が図られなければならない問題です。
今般、新たな政権が誕生し、長妻大臣が就任されました。私たちは、新大臣が、被害者救済に向けて大きく動かれるものと大変期待しております。
私たちは、この問題については、別紙の内容での全面解決を求めております。
何とぞ、この内容で全面解決されますよう要請いたします。
要 請 事 項
 被害者全員を救済対象とした立法・和解により、次のとおり全面解決を求めます。
1 被害発生に関する責任を認め謝罪することを求めます
  国は,集団予防接種による注射器の回し打ちにより,全国に多数のB型肝炎被害者を出したことの責任を認め,被害者に対して衷心より謝罪して下さい。
2 被害回復として「薬害肝炎救済法」と同等の一時金支給を求めます
  国は,原告ら全員に対し一時金(症状ランクに応じ,薬害肝炎救済法と同等の金額)を支給し、原告ら以外の被害者(集団予防接種によりB型肝炎に感染した被害者)についても,原告らと同様に一時金を支給して下さい。
3 恒久対策の確立を求めます
  「肝炎患者支援法」を成立させ、検査費用・治療費用(抗ウイルス薬治療を含む)についての自己負担を減免して下さい。
4 真相究明を求めます
  予防接種行政を検証する第3者委員会を設置して下さい。