B型肝炎訴訟全国いっせい提訴、最高裁原告と大臣面談

1 九州訴訟第6次提訴
本日9時30分、福岡地方裁判所に、B型肝炎訴訟九州訴訟の第6次提訴を行いました。
9名の原告(被害者数4名)が提訴し、九州訴訟の原告数は110名(被害者数101名)になりました。
 提訴した長崎市の辻田真理子さんは、実名を公表し、被害を訴えました。
 辻田さんは、約30年前にB型肝炎ウイルスに感染していることを知り、長男の出産に際してのワクチンも効かなかったため、感染させました。次男に対しては感染させずにすみましたが、次男出産の際に自らが肝炎を発症し、わずか4年間で肝硬変になってしまいました。
 肝硬変もすすみ、食道静脈瘤の手術を受けたり、肝性脳症で意識がなくなるなどの厳しい病状と闘ってきました。
 裁判のことを知り、相談すると、長男は、「それは訴えんばさ」と励ましてくれました。辻田さんは、「母子感染を起こした長男が、将来自分のような症状になるのではないか、そのときにきちんと治療を受けられるよう、国が責任に基づいて治療費を助成し、特効薬の開発を行ってほしい」と訴えました。
2 大臣面談と抗議行動
 また、午後0時30分から20分間、国会内で、最高裁原告・遺族と舛添厚生労働大臣との面会が行われました。
 2006年6月16日に最高裁判決が予防接種の回しうちによるB型肝炎感染についての国の責任を認めたにもかかわらず、厚生労働大臣は、面会も謝罪も行いませんでした。
 今回の面会で、大臣は、官僚が用意した謝罪文を読み上げるだけだったため、最高裁原告の木村伸一さんは、不満をあらわにしました。
 国会で大臣面会が行われている間、厚生労働省前で、全国B型肝炎訴訟の原告が、代わる代わる被害を訴え、1日も早く国の政策被害者全員の救済を行うよう求めました。
 2008年に鳥取地裁に提訴した原告が、2009年6月10日に亡くなったため、遺族が遺影を持って「父の無念を晴らすためにも、国に動いてほしい」と訴えました。
 記者会見の席で、全国B型肝炎原告団共同代表の佐藤美好さんは、「一方では謝罪しておきながら、同じ立場の被害者を放置するのは許せない。厚生労働省は、一刻も早く不合理な訴訟での争点の蒸し返しをやめよ。」と訴えました。
 九州訴訟原告も10名が抗議行動に参加しました。
3 全国B型肝炎訴訟いっせい提訴
さらに、最高裁判決3周年を受け、今日は、全国8地方裁判所で、原告45名が一斉に提訴しました。金沢地方裁判所では、4名の原告が初提訴しました。全国の原告数は、10地裁、原告数330人になりました。

<九州訴訟第6次提訴の概要>
 1 原告、被害者
    原告は9名(男性1名、女性8名)。
    被害者は4名(男性3名、女性1名)。
死亡被害者3名(男性)に対する遺族は8名(配偶者3名、子4名、親1名)で、被害者数より原告が5名多くなる。
 2 生存被害者年齢
    50代 1名
    (死亡者の死亡時年齢は、40代 2名、50代1名。
死亡時平均年齢50,3歳)
 3 原告年齢
    20代4名、40代1名、50代3名、80代1名
    平均年齢 43.4歳
 4 原告居住地 福岡県8名、長崎県1名
 5 肝炎のステージと請求額
   合計 2億5300万円
     肝硬変      5500万円  1名
     死亡       6600万円  3名
 6 全体の原告数
今日、福岡で9名(被害者4名)の原告が提訴したため、福岡地裁における九州訴訟の原告は合計110名に(被害者数101名)。
<九州訴訟の現状(2009.6.16提訴後時点)>
請求金額合計:39億8750万円
被害者のステージ:無症候性キャリア 9名
         慢性肝炎 59名
         肝硬変・肝ガン 23名
         死亡 10名(遺族19名)
原告居住地:福岡77名、佐賀8名、大分4名、熊本3名、長崎3名、鹿児島5名、宮崎1名、山口5名、その他4名
<2009.6.16全国いっせい提訴状況>
 1 今回の提訴前
    全国9地裁、原告数285名(被害者数280名)
札幌45名、東京36名(被害者35名)、新潟7名、静岡11名、広島44名、大阪28名、鳥取7名、松江6名、福岡101名(被害者97名)
 2 今回の提訴後
今回の全国提訴は、以下の通り。
金沢地裁(新規提訴)4名
札幌7名、東京6名、(新潟なし、)静岡3名、大阪12名、広島3名、鳥取1名、(松江なし、)福岡9名(被害者数4名)の8地裁45名(被害者数40名)が提訴。
今回の提訴により、全国の原告総数は、10地裁で330名(被害者数320名)になった。