医療事故調査講演

 11月19日午後1時30分から、久保井弁護士と一緒に、患者の権利オンブズマンの行事で、医療事故調査の講演を行いました。
 最初に、久保井弁護士から医療事故調査というものの経緯や位置づけ、あり方などについて話があり、私から経験した2つの事例の報告をし、質疑応答をしました。
 医療事故調査というのは、まず第一に、事故を起こした医療機関内部において、事故原因を究明し、同種事故の再発を防止するための提言を行うものです。
 しかし、実際に医療事故調査が行われることは少なく、行われたとしても、積極的に原因が調査されることは一般的には期待できません。
 あえて外部委員である患者側弁護士を招く委員会であっても、必ずしも積極的であるとは限りません。
 少なくとも、医療事故調査と刑事責任の追及は、切り離される必要があるように思われます。
 飛行機事故などでは、刑事免責は当然の前提とされています。訴追をおそれるあまり、人の命の安全を確保するという事故調査や再発防止がおろそかになってはならないという考えからです。
 ただし、民事責任の免責については疑問があります。やむを得ない事故ではなく、気をつけてさえいれば十分さけられた事故であった場合、本来、取り戻せない生命や健康被害の代わりの償いがなされるべきことは当然だからです。
 医療事故調査が尽くされ、すべての医療機関で違和感なく実施されるためには、まだ議論されるべき論点や課題が多く残っているように思われます。