大島青松園訪問

 6月10日に、大島青松園に行ってきました。
 現在、全国のハンセン病療養所で行われている熊本判決5周年集会が、高松の大島青松園では8月19日に予定されています。その集会の打ち合わせで、自治会の会長さんや役員の方々とお会いしてきました。
 大島には、5月まで全療協会長を務められた、原告団代表でもある曾我野さんがおられます。熊本判決のてこになった一つの大きな要因として、曾我野さんの活躍で、大島から多くの原告が追加提訴に立ち上がったことが挙げられます。
 弁護団も、そのころには大勢で訪れましたが、3年内解決のための早い訴訟展開や、多数の療養所での活動の必要性があり、担当者の弁護士以外が訪問する機会もあまりありませんでした。
 今回は、将来構想問題について話し合うことも目標ですが、大島をご無沙汰している大勢の弁護士が押しかけてみんなで懇親を深めること自体も目標になっています。
 今回の大島訪問では、私の担当原告だった徳島県出身の坂崎知能さんが、60年近くに及ぶ療養所生活の思いを歌ったCDを自費作成されたことが、地元のメディアで大きく取り上げられており、ハンセン病問題の啓発に一役買っていることが分かりました。CD作成を機に、坂崎さんは、本名を名乗るようになりました。坂崎さんは、高松市内でも、「テレビみましたよ。」と声をかけられているそうです。
 熊本県でのホテル宿泊拒否事件を機に、啓発活動の必要性が叫ばれており、法務省が特別啓発予算でテレビ番組を作成するなど、さまざまな活動が取り組まれていますが、入所者自身の「一芸」で啓発活動ができるとしたら、とてもすばらしいことだと思います。
 ちなみに、宮古南静園の集会でもお会いした、現全療協会長の宮里さんは、囲碁が7段か8段ということで、全国の囲碁大会の予選で、碁の盛んな宮古島の代表になったこともあります。
 医学的知見の学習も必要ではありますが、入所者の方々が持っておられる多彩な「芸」の交流をきっかけとして偏見がなくなるようにするという、しなやかな啓発活動の可能性をもっと探る必要がありそうです。