札幌地裁、国に和解案の全体像示すよう求める

 2010年7月28日午後3時から、札幌地方裁判所で、B型肝炎訴訟の和解期日が開かれました。
 原告団は、前日に札幌地方裁判所に、和解協議に当たっての意見書を提出しました。
 意見書の中で、札幌地方裁判所の和解勧告から4ヶ月、国による和解協議入り表明から2ヶ月が経過しているにもかかわらず、被害者認定基準の一部しか示さず、除斥期間についての考え方や、賠償額については全く示していないことから、札幌地方裁判所の次回の和解期日である9月1日までに、和解案の全体像を示すよう求めています。
 また、加害者である国が、40年にわたる回しうちを行い、その後20年以上その被害を放置し続けてきたことから、多くの被害者が、母を亡くしており、母子感染ではないという最も強力な証明方法である母親の詳細な血液検査データが提出できない状態になっていることを指摘し、代わりの信頼性のある証拠を提出しているから、被害者と認めるよう求めています。
 また、国は、7月6日の札幌地方裁判所の和解期日において、「母子手帳が無くとも原告らが予防接種を受けたという代替立証は認める。しかし、予防接種台帳のような信頼性の高いものがないか。原告らが予防接種を行った時期のものは残っていないだろうが、調査はしていない。」などと、人ごとのような発言をしていました。
 原告団は、調査した限り、?原告らが打った時期の予防接種台帳が存在していなかったという調査結果と、?厚生労働省の予防接種率の統計資料から考えると、資料が存在する昭和37年から63年までの間で、7歳になるまでの時期に1回も予防接種を受けていない人がいる確率は、どの時期でも1%未満であることを示した資料を提出しました。
 このことは、厚生労働省は、当然承知しているはずですが、被害者が一生懸命調査しても、なかなか重い腰を上げようとしません。
 今回の和解期日においても、台帳の存在については、「調査する方向で動いている」と言ってみたり、「昭和60年ころからなら残っているところもないわけではない。残ってないところの方が多いのではないかといわれても答えられない。いつ調査を終える予定なのかも言えない。」などという回答に終始しました。
加害者である国は、いったいいつ頃被害者に謝罪して償おうと考えているのかが全く見えません。そもそも、被害者に謝罪して償おうという気があるのかどうかも見えません。
裁判長は、和解期日の最後に、原告被告とも同席の上で、「国の和解案の全体像について、なるべく早期に示して頂きたい。」と、国に対し、和解協議を促進するよう求める所見を出しました。
国の不誠実な態度は、裁判所から見ても目に余るものであったといえます。
 国が、次回9月1日にどういう回答をするのかが注目されます。