B型肝炎九州訴訟第10回期日

 2010年6月4日11時から、福岡地方裁判所で、B型肝炎九州訴訟の第10回口頭弁論期日が開かれました。
 学生さんをはじめ、たくさんの支援者の方々に傍聴に足を運んで頂き、法廷は満員になりました。どうもありがとうございました。
 本年3月24日に提訴した原告の冨田さんは、高校3年生の時に献血をして、感染が発覚しました。ちょうどそのとき、テレビドラマで、B型肝炎の患者さんを開放した医師が、B型肝炎に感染し、生死の境をさまよう場面があったため、死の恐怖に襲われました。
 2008年に、理解のある奥さんと結婚され、女の子も生まれましたが、今年2月には肝炎を発症してしまい、抗ウイルス薬を飲まなければならない状態が迫っており、そうすると、奇形児が生まれる危険があるため兄弟を作ってあげることができません。
 予防接種の時の注射器の回し打ちで私の血液が汚れたのであれば、国の責任で私の血液をきれいな血液に入れ替えてほしい、と訴えました。
 また、「責任ある回答」ができないからという理由で拒まれ続けた厚生労働大臣面談で、実際には面談の際に何ら「責任ある回答」がなかったことを厳しく批判し、いらずらに和解を引き延ばすのではなく、まずは私たちの被害者と認め、心から謝罪するところから和解協議を始めてほしいと訴えました。
 原告の井上さんは、体調が悪かったため、弁護士の代読となりましたが、40歳の時に慢性肝炎を発症し、緊急入院が3か月に及んだときに、鳶の会社を辞めざるを得なくなりました。体も思うように動かず、年老いた母の年金を頼る生活になりました。その母も闘病生活5年目になくなりました。
「本気で私たち被害者を救済する意思があるのならば、私たち原告と直接協議する場を設けて下さい。そして、先行きの見えない将来、病に苦しむ私たちに、一日も早く具体的な救済策を示して下さい。」と訴えました。
 その後、私から、国が検討状況を公開しないのは、官僚の過大な試算を批判的に検討する能力がなく、官僚の言いなりになっているせいだと指摘しました。なぜなら、薬害C型肝炎訴訟の際、自民党政権の時代でも、当時の舛添厚生労働大臣は、官僚の「2兆円かかる」という試算表を弁護団に開示し、弁護団に反論の機会を与えているからです(「厚生労働省戦記」より)。
 最後に、小宮弁護団長が、肝ガンで余命を宣告されている原告が、文字通り命を削りながら解決を訴え、全国のメディアが早期解決を求めているのに、国が和解を引き延ばしているのは断じて許されないと訴えました。
 厚生省官僚と闘って薬害エイズ訴訟を解決に導いた菅首相は口先だけで「命を守る」と言って解決を引き延ばした鳩山政権とは異なり、B型肝炎訴訟を解決するはずだと原告は期待しています。
行政透明化チームをまとめ、6月中にも情報公開法改正案をとりまとめる予定とされている枝野行政刷新大臣は、幹事長になったのですから、もちろん厚生労働省官僚の過大な試算を公開するよう働きかけるでしょう。
 原告団弁護団は、政権の「変化」が本物であることを信じて、早期解決を求めていきます。